米英豪安保協力 地域の緊張、増幅させるな

 米国と英国、オーストラリアが新たな安全保障の枠組みを設けた。インド太平洋地域の平和と安定の維持をうたい、名指しこそしないものの実質は中国をにらんだ軍事協力である。

 この地域で事実上、中国に対抗する枠組みは日米豪印による「クアッド」がある。これに続き、米国が3カ国の頭文字を組み合わせて「AUKUS(オーカス)」と呼ぶ安保の枠組みを主導したのは、重層的な圧力を目指すからだ。

 オーストラリアにとっては、新型コロナウイルス発生源の国際調査を求めて以来、対立が続く中国をけん制する意味合いがある。英国は欧州連合(EU)離脱後も、国際社会で独自の存在感を高めたいのだろう。

 確かに中国は世界2位の国防予算で、軍事的膨張に歯止めがかからず脅威だ。とはいえ新たな枠組みが逆に中国の警戒感を強め、アジアの緊張を高めるようなことになってはならない。

 最初の協力で、核兵器を持たないオーストラリアの原子力潜水艦配備に米英が技術支援を約束した。原潜は通常型潜水艦と比べて長時間の運用が可能で、中国が軍事拠点化を進める南シナ海など広範囲で米軍とともに抑止力強化を図るとみられる。

 現在、原潜を配備する国は核兵器保有国に限られる。オーストラリアのモリソン首相は保有の意思はないと説明するが、懸念は容易には拭えまい。非核政策を取る隣国ニュージーランドは原潜が領海内に入るのを認めないとの立場を伝えたという。

 さらにインドネシアやマレーシアは、オーカス創設で軍拡競争の激化を危ぶむ。米英豪はまず、こうした近隣国との信頼醸成に努めるべきだ。

 原潜配備計画は新たな外交問題も生んでいる。オーストラリアと通常型潜水艦を共同開発する予定だったフランスが契約を破棄されて猛反発し、駐米、駐豪両大使を召還する事態に至った。仏外相は「同盟国間の信頼を壊した」と非難した。

 EUは今月、インド太平洋地域戦略の具体案を発表した。加盟国にはフランスなど米国の同盟国も含まれる。バイデン政権はアフガニスタンから軍を強引に撤退させ、批判を浴びたばかりである。同盟国を軽視したような行動が重なれば対中戦略で足並みの乱れを生じかねず、厳に慎むべきだ。

 日本にとって中国は多様な関係を持つ隣国だ。中国に国際秩序の順守を訴えつつ、米国には強引な手法に走らぬよう同盟国として自制を促す役割がある。菅義偉首相は24日、ワシントンで米豪印首脳との初の対面会合に臨むが、最後の外遊はそうした機会にしてもらいたい。

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