下り坂なのに空き缶が…ピクリとも動かない「ゆうれい坂」

 下り坂なのに、空き缶が戻ってくる? そんな不思議な坂道が岡垣町にあるらしい。早速、車を走らせた。町役場から車で北西に約15分。福岡県宗像市へ向かう国道495号から町道に入り、湯川山(471メートル)の麓に立て札があった。「ゆうれい坂」。おどろおどろしい名前の目的地に着いた。

 一見すると、何の変哲もない直線道路。奥の上り坂との境目まで緩やかに下っているように見える。

 寄せられた情報をもとに、周囲を確認し、車をニュートラルにギアチェンジしてみた。すると少しずつ、車が後退し始めた。慌ててパーキングに入れ直した。

 下り坂なのにどうして…。立て札にある町観光協会に電話してみた。「実はそこ、上り坂なんですよ」。尾前実香さん(32)が種明かしをしてくれた。奥の上り坂が急勾配のため、そこまで続く道が目の錯覚で下りに見えてしまうらしい。

 町によると、一帯の町道が整備されたのは1980年ごろ。約2年後、大学生が町に問い合わせたことで錯覚が起こることが判明した、との説明が町発行の冊子に記録されている。

 尾前さんによれば、湯川山は桜の名所でもあり、坂周辺にもかつて大きな桜の木があったそう。坂の脇道に止めた車が後退し、驚いた花見客をきっかけに少しずつ存在が広まったようだ。テレビでも度々紹介され、今では観光スポットとして町のホームページやマップに載っている。

 立て札には「下り坂なのに、空き缶が戻ってくる!?」とも書いてある。早速置いてみた。あれ? ピクリとも動かない。「昔は本当に転がったらしいんですが、道路の風化なのか…」と尾前さんは苦笑する。

 もちろん坂は一般道のため、車の往来がある。車や空き缶などで錯覚を体験する際は、くれぐれも周囲にご注意を。

 (岩谷瞬)

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