中台TPP申請 厳格なルールで結束守れ

 ここで対応を誤れば、アジア太平洋地域の経済圏を拡大するどころか、逆に域内の政治的緊張を高めかねない。難航を極めた環太平洋連携協定(TPP)の交渉をリードし、閣僚級会合で今年の議長国を務める日本政府の力量が問われる局面だ。

 日本やカナダなど11カ国が参加し2018年に発効したTPPに対し、中国と台湾が相次いで加入を申請した。欧州連合(EU)を離脱した英国の2月の申請に続くものだ。

 TPPは関税撤廃などで貿易や投資の自由化を進め、知的財産から電子商取引、環境までの幅広いルールを定める。21世紀型のハイレベルな枠組みと評されており、仲間が増えることは基本的に歓迎できる。

 ただそれは、新たな加入者がTPPのルールを受け入れることが前提である。

 世界第2位の経済大国、中国が加われば、TPP経済圏の規模は2倍以上に拡大する。参加11カ国には市場拡大を見込み、中国加入に前向きな反応もあるが、国有企業優遇といった中国の統治の根幹に関わる不透明なルールを改めなければ加入は難しい。新加入には全ての参加国の同意が必要で、新型コロナウイルスの発生源調査を巡り中国から経済的圧力を受けるオーストラリアもそれに含まれる。

 中国が政治的、経済的な影響力を駆使して参加国を個別に懐柔することも考えられる。中国の利害や都合に合わせ、加入のハードルを下げるような対応は避けるべきだ。日本はまず参加国の結束が乱れないような目配りが求められる。

 一方、台湾の加入への障害は低い。蔡英文総統は「われわれは全てのルールを受け入れる用意があり、TPPに加入したいと思っています」と自身のツイッターに日本語で投稿した。

 日本政府にも台湾歓迎の声がある。台湾経済が半導体産業で世界をリードするなど存在感を増していることが背景だ。

 台湾の加入申請には「一つの中国」政策を掲げる中国が強く反発している。台湾の先行加入を容認するとは考えにくいが、台湾に対する圧力を高める口実にさせてはならない。

 もともとTPPには基本的人権、法の支配といった普遍的価値を共有する国々と経済的な相互依存関係を深める戦略的意義もある。交渉を当初主導した米国は中国包囲網を築く狙いだったものの、トランプ前政権が離脱してしまった。

 現在のバイデン政権も国内世論に配慮しTPP復帰には慎重だが、対立する中国の動きに警戒を強めている。日本は米国への働き掛けを強め、早期復帰の道筋を描きたいところだ。

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