自立援助ホーム、大雨被災で苦境

 8月の記録的な大雨では、家庭にいられない子が暮らす「自立援助ホーム」が被災するなど影響を受けた。長崎市の施設は漏電が原因で建物が使えなくなり、利用者は1カ月にわたって避難先に身を寄せた。自傷行為の経験者がいる福岡県内の施設は、ホテル避難を選択。施設の復旧やホテル利用に公的支援の枠組みは十分でなく、費用負担が重くのしかかる。

 雨が降り始めて4日目の8月14日夜。ホーム長の川井健蔵さん(74)が2010年から運営する「ドリームカムホーム」(長崎市)では、利用者の男女6人(17~21歳)がだんらんを楽しんでいた。「バーンと大きな爆発音がして、真っ暗になった」と川井さん。雨漏りによって配電盤の一部がショートし、焼け焦げた。「こんな大雨は初めて」

 利用者は2日間市の避難所で過ごし、別の民間施設へ移動した。ガスが使えないため、調理ができず、水シャワーを浴びる生活。週1、2回近所のホテルに出向き、入浴したという。

 利用者は「ぜいたくは言わないから、お湯が出る場所に落ち着きたい」。「これまで恵まれていたと実感した」と話し、疲れがにじんだ。頭痛や不眠を訴える子もいた。

 被災した施設の修繕に厚生労働省の補助金が使えるのは所有物件に限られる。築35年超の修道院跡を借りるドリームは適用外だ。「賃貸は商品になるため、公費は出せない。大家との交渉になる」(同省など)という。

 ドリームでは以前から雨漏りに悩まされ、修繕も困難と言われてきた。貸主から来年3月の退去を求められていて、川井さんは移転か、閉鎖を迫られた。

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 「面識がない人との集団生活は、精神的に不安定になる可能性がある」。土砂災害警戒区域にある福岡県内の施設関係者は、公民館ではなくホテルに避難した理由をこう明かす。自傷行為の経験や精神科の通院歴がある利用者2人は揺らぎやすく、目配りが必要だ。安全を考え8日間ホテルに滞在。スタッフ1人を含め宿泊代など要した10万円への公的補助はない。

 「預かっている子は最後まで面倒をみたい」-。川井さんは移転先探しに奔走。14DKと部屋数に恵まれたドリーム同様の物件を望んだが、難航した。今月中旬、9部屋ある民家が長崎市内に見つかり、21日から順次移っている。

 物件探しの難しさについて、関係者は「多くの個室が必要な間取りの特殊性に加え、大家や地域の理解が障壁になる」。引っ越し代や敷金・礼金も施設側の負担だ。既に食事代なども含め150万円以上を負担した川井さん。「寄付をいただけると大変ありがたい」と話している。

 筑紫女学園大の大西良准教授(社会福祉学)は「ぎりぎりの資金繰りで運営する施設は多く、被災すればさらに苦境に立たされる。公的な支援が進むよう、広く現状を知ってもらうことが大切だ」と指摘する。川井さん=070(6590)8808。

(一瀬圭司、久保田かおり)

 自立援助ホーム 義務教育を終えた15~20歳が共同生活を送り、就労しながら自立を目指す施設。進学も可能で大学生の場合は22歳まで入所可能。虐待などで家庭の居場所を失った子が多く、虐待経験者は7割近くに上るとの調査もある。児童養護施設の退所者や里親になじめなかった子にとっての受け入れ先でもあり、「最後の砦(とりで)」とも呼ばれる。入所者の支払う3~4万円の利用料と行政の公費を元にNPO法人や社会福祉法人が運営する。

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