財政再建語らない4氏 衆院選にらみ負担増の議論回避

 自民党総裁選(29日投開票)で、新型コロナウイルス禍で傷んだ日本財政の立て直しに向けた議論が停滞している。立候補した4氏は経済対策成長戦略を声高に訴えるが、その財源を借金に頼らず中長期的にどう確保するかの言及は乏しい。総裁選直後の衆院選をにらみ、負担増の議論は及び腰。財政健全化目標の先送り論まで浮上している。

 経済財政運営がテーマの一つとなった23日の党主催のオンライン討論会。「何としても下支えする時期だ。相当、大胆な財政出動を考えている」。高市早苗前総務相が苦境に立つ中小企業支援に踏み込むと、岸田文雄前政調会長や野田聖子幹事長代行、河野太郎行政改革担当相も給付金支給の必要性に言及。河野氏が「(需要と潜在的な供給力の差を示す)GDPギャップを埋める財政出動はやらなければ」と追加経済対策に意欲を示すなど、4氏とも当面はコロナ危機を乗り越える財政出動は必要との考えで一致している。

 中長期的な経済再生を見据えた成長戦略を巡ってもデジタル化や国土強靱(きょうじん)化など持論を展開したが、政策遂行のための財源論はほぼ語らずじまいだった。

 これまでの論戦でも4氏は負担増の議論に深入りしていない。コロナ禍のさなかに法人増税などに動く米国や英国とは対照的だ。

 消費増税について岸田氏は「10年程度は上げることは考えていない」と主張。高市、野田両氏も否定する。

 河野氏は年金改革の財源に消費税を充てる構想を示すが「税率を言うとそれだけが切り取られるから言わないようにしている」と増税幅は明言を避けている。

 財務省幹部は「間近に衆院選、来夏は参院選。増税など負担増の発信はみじんもしたくないんでしょ」とみる。

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 政府が財政健全化の指針に据えてきた国と地方の基礎的財政収支プライマリーバランス、PB)の2025年度の黒字化目標も揺らいでいる。高市氏は当初から2%の物価上昇目標の達成まで黒字化の「凍結」を主張し、他候補も先送りに言及しているためだ。

 河野氏は18日のインターネット番組で「コロナの影響が続く間はPBを先送りせざるを得ない」と述べ、岸田氏も「必要であれば先延ばしも考えなければならない」と同調。野田氏も少子化対策への投資を理由に「PBを気にせずやらないと手遅れになる」とする。

 こうした論調を麻生太郎財務相は21日の記者会見で「国家財政が安定しないと結果として為替、金利に影響する」とけん制した。

 予算の4割を国債に頼る日本財政。借金依存が常態化し、国と地方の長期債務残高は21年度末に1200兆円を超える見通しだ。

 「時限措置や将来的な導入であれ、増税など財源にめどを付ける議論をすべきだ。一番の争点であってもおかしくない」。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは総裁選で負担増に口をつぐむ各候補を疑問視。「選挙を意識してだろうが、一種のポピュリズム。議論もせず国債ばかりに頼るのは将来世代に負担を先送りするだけで無責任だ」と指摘した。

 (一ノ宮史成)

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