衆院選の野党共闘 「敵失」頼みでは託せない

 自民党総裁選と並行し、野党の衆院選に向けた準備も進んでいる。ただ対決相手を菅義偉首相と見込んでいた戦略は練り直しを余儀なくされ、総裁選の陰に隠れた埋没感も否めない。「敵失」頼みの弱みが、突然の局面転換であらわになった形だ。

 先月の横浜市長選をはじめ、このところ国政を含む各級選挙で野党系候補が与党系候補を下すケースが相次ぐ。一方で野党各党の支持率は上がらない。

 選挙の勝因は新型コロナ対策の不手際など政府、与党の失策によるところが大だ。自民に水をあけられたままの支持率からは野党が政権の選択肢と見なされていない現実が読み取れる。

 迷走を繰り返した民主党政権の負のイメージが拭えていないこともあろう。だが、政権が代わったらこの国の政治や国民の暮らしがどう変わるのか-という姿を十分に示せていないことこそ、敵失を追い風に変えられない一番の要因と言えよう。

 立憲民主、共産、社民、れいわ新選組の4党は、野党共闘を呼び掛けるグループ「市民連合」の仲立ちで共通政策に署名した。消費税減税、安保法の違憲部分の廃止といった与党の政策の逆張りが中心で、4党が目指す政治の姿は伝わってこない。

 共闘の要となる立民は総裁選にぶつける形で、党の公約や政府の経済政策アベノミクスの検証結果を発表している。

 沖縄県の米軍基地移設問題や選択的夫婦別姓制度などで自民との違いを出そうと腐心していることはうかがえる。ただ、実現に向けた道筋が十分に示されていないものも目につく。アベノミクスの対案としての分配重視などの主張は大枠で自民の総裁選候補とも共通しており物足りない。具体的かつ現実的な対案を練り上げることが必要だ。

 さらに見えないのが野党政権の具体像だ。共通政策で土台は整ったものの、立民の枝野幸男代表は安保などで隔たりがある共産との連立政権は否定する。

 共倒れ回避への候補者一本化は対与党の選挙戦術としては一理あるが、選挙後の両党の関係が曖昧なままで有権者に対し説得力があるだろうか。共産との共闘を否定し、共通政策にも加わっていない国民民主との連携をどう探るのかも課題だ。

 昨年9月に旧民主党勢力などが合流した立民は、衆院選で定数の過半数の候補擁立にめどが付きつつあり、数の上では政権を目指すに足る構えは整う。

 まさに今、埋没に甘んじている余裕などなく、政策を武器に自ら風を巻き起こすくらいの迫力を示すべきだろう。政権への飽くなき執念こそ、自民にあって野党に欠けているものだ。敵失頼りでは政権は託せない。

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