予報“吹き飛ばした”2台風 再認識できた「難しさ」…だから備えを

 台風の進路予想はまことに難しい-。気象関係者を悩ませる出来事が2年続けて発生した。東シナ海で停滞した揚げ句に1951年の観測開始以降初めて福岡県に最初に上陸した台風14号と、一時は「特別警報級」との注意が呼び掛けられた昨秋の台風10号。データや蓄積を駆使する予想を覆した二つの台風をあらためて振り返った。今週は、16号が日本列島接近をうかがう。

 今月7日にフィリピン東方で発生した台風14号。太平洋高気圧の周縁に沿ってゆっくりと北上したものの、東シナ海を迷走、一時停滞した。北側に位置する強い大陸の高気圧に進路をふさがれたとみられる。

 この段階で「大陸からの乾いた風や、寒気の影響で勢力は弱まった」と考えた気象庁。「今後は温帯低気圧に変わる」との見方を示していた。

 ところが、だ。再び勢いを強めた14号は偏西風の影響で進路を東に変えて17日夜に福岡県に上陸し、太平洋に抜けるまでの間、局地的に大雨をもたらした。

 福岡管区気象台によると、14号が停滞していた東シナ海の海面水温は28~29度。これが想定よりも高かったことに加え、停滞中、海面付近の暖かい海水と海中の冷たい海水がかき混ぜられることで「下がる」とみられた海面水温が「下がらなかった」ため、再発達したという。想像したほどの攪拌(かくはん)効果はなかったということだ。

 次に、昨秋の台風10号について考えたい。昨年9月初旬に九州西岸を北上した10号は「特別警報級に発達」として最大級の警戒をするよう言われていたが、そこまでは至らなかった。数日前に台風9号が同じ進路をたどったことに着目した気象庁や大学教授は当初、攪拌によって「海面水温が『下がった』」と推測した。

 だが約1週間後に気象庁が正式に原因として挙げたのは、東シナ海からの乾燥した空気の流入。9号通過による海面水温低下の影響は「限定的だった」とした。

 高気圧の位置、偏西風、海面水温、水蒸気…。素人目にも注意すべき点は絞られているようだが、自然が相手の予想は難しい。気象庁が示す台風の「予報円」の確率はそもそも70%とされている。裏返せば、円内に収まらない確率は30%もある、と言える。

 刻一刻と進路や勢力を変化させる台風。福岡管区気象台の担当者は「予想の『ずれ』は起こり得る」と説明。ここはやはり、日々の状況を見守るしかなさそうだ。 (梅沢平、重川英介)

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