2度の水害乗り越え“川辺のおもてなし”再び 天ケ瀬温泉街の旅館再開

 昨年7月の記録的豪雨で被災した大分県日田市・天ケ瀬温泉街の旅館「成天閣」に25日、1年2カ月ぶりに「いらっしゃいませ」の声が響いた。天ケ瀬温泉旅館組合に加盟し、休業した被災7軒のうち、営業再開は初めて。復興途上の今夏も大雨被害を受けたものの、復活を遂げた。社長の古賀信寿(のぶひさ)さん(44)は「支援してもらった多くの人たちにこれから恩返ししたい」と笑顔を見せた。

 「どこから手を付けていいのか分からない、ひどい状況だった」。古賀さんは被災直後を振り返る。玖珠川の氾濫で旅館の1、2階に大量の土砂と泥水が流れ込み、2階フロントも1メートルの高さまで浸水した。新装して1年もたっていない大浴場も泥で埋まり、温泉街のシンボルだった旅館から対岸に渡る「赤いつり橋」も大破した。

 途方に暮れたが、コロナ禍でもすぐに駆け付けてくれた市内外のボランティアに勇気づけられた。毎日40人近く、休日には100人以上が約2週間をかけて泥出しや流木の除去に汗を流してくれた。「暑い中で黙々と体を動かしてくれ、本当に感謝しかない」

 建物や温泉設備の復旧工事に奔走する中で、地元のNPOやボランティア団体とのつながりも生まれた。妻でおかみの留巳(るみ)さん(43)は「たくさんの人と関わり、成天閣が生まれ変わるいい機会をもらえた」。夫婦は「温泉街のみんなと復興する必要がある」と確信するようにもなった。

 営業再開を控えた今年8月、再び大雨が襲い、玖珠川の水があふれた。旅館1階に土砂や流木が堆積し、設備にも被害が出た。「昨年よりもショックが大きかった」。2年連続の被災に心が折れかけた。それでも、「大雨の時は怖い川だけど、いい面もたくさんある」と前を向いた。

 リニューアルした旅館のコンセプトは「川辺で休息」。自由に選べる何種類もの柄の浴衣や、地元の日田げたを用意した。「(6月に先行復活した)赤いつり橋を渡り、川辺をそぞろ歩いて天ケ瀬温泉街の空気感を満喫してほしい」

 夫婦はこれからも、川とともに生きていく。 (中西是登、吉田賢治)

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