「学費を親に奪われた」施設を出た後も追い込まれる不条理

 孤独をこえて3

 社会的養護を研究する武蔵野大講師 永野咲さん

 大学2年の夏。関東のある児童養護施設で2週間の実習を終え、敷地を出ようとした時だった。「やっと終わった」と建物を振り返ると、3階のベランダに担当した3歳の男の子がいた。小さな手で柵を握り、ずっとこちらを見つめる。「またいなくなるの?」。そう言われている気がした。

 施設は毎年、社会福祉士を志す学生の実習を受け入れていた。休む間もなく子どもと向き合うため職員の入れ替わりも激しい。「私が解放されてホッとした環境で、あの子は生きていくんだな」。帰路の電車で考え続けた。

 親と暮らせない子を施設や里親が育む「社会的養護」を研究しようと腹を決める。施設の学習ボランティアに参加し、虐待や貧困に関するシンポジウムに片っ端から顔を出した。「真面目とは言えない学生だったのが、他の大学の研究室にも突撃するようになって」

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