コロナ規制解除 緩みなく次の波に備えよ

 新型コロナウイルス感染の流行は今後も波状的に続く、と専門家が警鐘を鳴らしている。一つの大波は越えたとしても、ここで国民の命を守る取り組みに緩みがあってはならない。

 政府は首都圏や福岡などの19都道府県に発令中の緊急事態宣言と、熊本、鹿児島、宮崎を含む8県に適用中のまん延防止等重点措置を期限の30日で全て解除することを決めた。こうした宣言と措置の対象が全国どこにもない状態に戻るのは4月4日以来、約半年ぶりとなる。

 「第5波」とされる今夏からの流行は、感染力の強い変異ウイルス「デルタ株」の広がりで過去最大規模に膨らんだ。首都圏を中心に病床は逼迫(ひっぱく)し、医療供給体制が危機にひんした状況は「災害級」と形容された。

 それが9月中旬以降、ワクチン接種の進捗(しんちょく)もあってようやく鎮静に転じた。政府は今後、自治体による飲食店への時短営業要請など経過措置を経た上で11月をめどに国民の行動制限の本格緩和に踏み切る構えだ。そこに至るにはなお幾つかのハードルが立ちはだかる。

 一つにはワクチン接種の推進だ。デルタ株に対して集団免疫を獲得するには欧米の状況から見て、国内全体の2回接種率を現在の5割台から7~8割以上に高める必要がある。接種は任意だが、副反応を巡る誤情報を排除し、若い世代に広くワクチンを行き渡らせることが極めて重要だ。加えて3回目の接種の必要性や対象範囲、時期などを明示する作業も急がれる。

 二つ目は行動制限緩和への実証実験を綿密に行うことだ。政府は接種証明や検査の陰性証明を条件に、緊急事態宣言下であっても飲食やイベント参加、県境をまたぐ移動などの制限をなくす「ワクチン・検査パッケージ」の導入を検討している。

 実証実験では、対象施設の選定、感染リスク低減効果の指標などを具体的に提示し、第三者の評価も交えて結果を詳しく公表すべきだ。ワクチンの効果が万能ではないことや健康上の理由などで接種ができない人への配慮が必要な点も含め、国民の幅広い理解と協力が得られる仕組みを目指すことが肝要だ。

 さらに感染症医療の立て直しも喫緊の課題である。昨年来、病床の確保や保健所の業務負担の見直しは急場しのぎの対応に終始してきた。「次の波」に備えてこれまでの経緯を検証し、関係法令の改正も含めた抜本改革を図るべく、国会でも早急に議論を進めるべきだろう。

 感染防止と経済活動再生の両立はまだ模索の段階にある。私たち国民全体が緊張感を保ちつつ、今後の道筋を考えていく機運も広げたい。

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