コロナで志願者減に追い打ち…留学生1300人入国できない大学の危機感

 学生の約半分を留学生が占め、「多文化・多言語環境」を掲げる大分県別府市の立命館アジア太平洋大(APU)で、未入国の留学生が千人を超える事態に陥っている。国が新型コロナウイルス対策で留学ビザ発給を停止しているためで、九州の各大学も留学生が入国できない状況が続く。米国など既に入国を再開した国もあり、APUは「優秀な学生が他国に流れ、日本の外国人材の減少にもつながりかねない」と懸念する。

 政府は1月から水際対策として全ての国・地域からの新規入国を原則停止。留学ビザ発給は国費留学生を除いて停止している。

 APUの学生(大学院生含む)は約5600人。うち約45%を、韓国や米国、ケニア共和国など約95カ国・地域からの留学生が占める。9月に入学した留学生約450人はほぼ全員が入国できず、同24日の入学式はオンラインで開催。今春までに入学した学生なども含めると、未入国の留学生は概算で計約1300人に上る。

 大学はオンライン授業で留学生と日本人学生を交えたグループワークを取り入れるなど工夫を凝らす。ただ、留学生は日本でのアルバイトなどができず、留学生活を十分に満喫できない。このためか、海外からの志願者数はコロナ禍前の2019年度は1724人だったが、本年度は1173人に減った。

 一時的に入国規制が緩和された昨秋、都内にホテルを借り、成田空港に到着した留学生250人を2週間隔離した後、専用バスで大学まで送る感染防止策を実施。9月4日から校内で学生向けのワクチン接種も始めており「自校で感染対策を講じることは可能」として、国に早期の入国緩和を求めている。別府市の長野恭紘市長も「留学生は市の経済活性化や国際化に欠かせないのに」と困惑する。

 九州大は留学生約380人が未入国(5月1日現在)。理系学生は機器を使う実験などがオンラインではできず、影響が大きい。熊本大も留学生約370人のうち約50人が未入国(9月1日現在)。10月に約80人が入学予定だが、約70人は未入国のまま大学生活を始める。「実験が満足にできない」「オンラインになじめない」などの理由で、休学する学生もいるという。

 文部科学省は「教育・研究分野はもちろん地域経済などにも影響が出ていると思われ、危機感がある。国内外の感染状況を踏まえ入国再開に向けて関係省庁と調整を進めている」とする。 (井中恵仁、平峰麻由)

孤立化が進みかねない

 西南学院大の野田順康教授(国際協力論)の話 当面はオンラインを駆使して乗り越えるしかないが、留学生は国と国の懸け橋のような存在。今後留学生が減ってしまうと、国際社会で日本の孤立化が進みかねず、その事態は避けるべきだ。

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