問題児だった最強横綱に期待したい力士教育 手島基

 数々の金字塔を打ち立て、東日本大震災の復興支援に努め、少年相撲の国際親善大会「白鵬杯」を主催するなど、土俵の内外で大相撲発展に貢献した最強横綱が、誓約書へのサインを条件に引退と年寄襲名を承認された。記者会見では準備したメモを見て確認したり、読んだりして、質問とかみ合わない場面も。失言を防ぎ、親方として信頼回復の第一歩にしたいという心情がにじんだ。

 相撲や日本の歴史を学び、横綱として勝利とともに求められる取り口、言動や「品格」は知っている。「鬼になって勝ちにいくのが横綱と考えていた。けがもあり、周りや横審(横綱審議委員会)の期待に応えることができなかった」。引退会見の言葉で思い起こしたのが、白鵬杯でのやりとりだった。

 会場で開催意義を問うと「徳を積む」と胸を張った。人に知られず、礼や見返りは期待せずに善行を重ねるという真の意味を理解していないように聞こえた。知っていると理解しているは違う。不十分な理解が、勝つことに執着した取り口や独善的な言動につながった、と思えてならない。

 自身がスカウトして指導する部屋の力士の活躍には「内弟子なのでうれしい」。本来は「弟弟子」だ。「指導力はあるのだろうが、部屋付きの親方が将来の独立に備えて所属部屋で指導する力士が『内弟子』だ。現役力士なのにおかしい」と語気を強める親方もいた。

 四股やてっぽうを重ね、支度部屋に響かせた荒々しく、時にゆっくりと息を吐く音が忘れられない。入念な準備運動の効果を実感するからこそ横綱になっても続けた。実感を伴って理解を深められる力士教育。不祥事が繰り返される中、師匠任せではなく、協会としての取り組みが急務だ。頂点を極めながら問題児だった間垣親方に期待したい。 (手島基)

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