「赤堂さま」再建へ 九州豪雨で被災、住民救った朝倉のお堂

 地域から「赤堂さま」と呼ばれ親しまれてきたが、2017年の九州豪雨で濁流にのまれた福岡県朝倉市杷木寒水(そうず)にあるお堂の再建に、地元住民や学生などの支援者が取り組んでいる。9月、仮設のお堂建設が始まり、今月中に完成予定。復元された弘法大師像と観音像の2体が豪雨災害からの復興の歩みを見守る。

 9月中旬、杷木寒水地区の一角で、地元住民や大学生が金網のかご(縦1メートル95センチ、横45センチ、高さ1メートル95センチ)2個に石を積み入れていた。金網かごは「蛇籠(じゃかご)」と呼ばれており、ここに屋根をかぶせ、仏像を安置する仮設のお堂とする計画だ。

 蛇籠は河川の護岸や堤防の補強にも使われる。豪雨で流れた石や木を入れてお堂の壁を作ることで、復興の象徴とする狙いがある。

 設計したのは近畿大産業理工学部建築・デザイン学科(飯塚市)4年の南奏(かな)さん(21)。朝倉市内の支援団体を通じて昨年12月にボランティアを始め、今年2月にお堂の存在を知った。

 安置されていた仏像などは九州大の教授により復元されたが、お堂は周辺のかさ上げ工事が続いており、再建のめどは立っていなかった。南さんの故郷は、弘法大師とのゆかりが深い和歌山県。「不思議な縁を感じた」と、仮設のお堂建設を提案したという。

 お堂は、地域にとって小さな社交場でもあった。毎年春や盆になると、住民が集まってお参りし、近況を報告し合う。お堂の隣に住んでいた塚本潔子さん(73)は、地域の絆を結んでくれる赤堂さまに感謝し、花や菓子を供えていた。

 九州豪雨が地域を襲った17年7月5日夕、塚本さんの自宅周辺にも濁流が押し寄せ、お堂は全壊。庭にいた塚本さんは倉庫の2階に避難したが、道路はすぐにあふれる水で川のようになった。死を覚悟したが、お堂があった場所に流れてきた岩や木が積み重なって水をせき止め、何とか逃げることができた。

 豪雨では42人の死者・行方不明者が出たものの、杷木寒水地区は誰も命を落とさずに済んだ。塚本さんら住民は「赤堂さまのおかげ」と感謝する。「赤堂さまにはこれからも地域を見守ってほしい」と話す南さんも、完成を待ち望んでいる。

 (西田昌矢)

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