避難所での感染心配…8月の大雨「自宅にとどまった」大半  あな特通信員

 異常気象の昨今、コロナ禍の避難をどうしたか-。8月に九州各地で大きな被害を生んだ大雨時の避難について、西日本新聞「あなたの特命取材班」は、無料通信アプリLINE(ライン)でつながる「あな特通信員」にアンケートを行った。避難指示が出された人のうち、9割弱が「自宅にとどまった」と回答。「新型コロナウイルスの感染が心配」「幼い子どもやペットがいる」などの声があり、複数のリスクや事情がある中で悩ましさが浮かんだ。

 アンケートは9月24~26日に実施。8月の大雨で「大雨特別警報」が発令された福岡、佐賀、長崎3県の通信員約8500人のうち、655人が回答した。

 回答者のうち、大雨で避難指示の対象になったのは58%(379人)。このうち88%(332人)が「自宅にとどまった」とし、親類や知人宅、指定避難所に行ったのはわずかだった。避難所に関して「土砂災害警戒区域にあるため論外」(福岡市中央区の47歳女性)「対象者全員が避難できる広さがない」(同市東区の69歳男性)など不安視する投稿があった。

 自宅にとどまった理由(複数回答)では「ハザードマップや気象情報から判断」(52%、172人)や「2階以上に居住、または避難可能」(43%、143人)が多かった。情報を取捨選択し、避難所以外に身を寄せる「分散避難」として自宅を選んだとみられる。

 一方で「コロナの感染を懸念」(19%)や「病気や介護、ペットなどの事情」(14%)などの意見も。具体的には「子ども5人を連れて避難する方が危険と判断」(長崎市の36歳女性)、「避難所は感染リスクがあり、行くつもりはない」(福岡市中央区の54歳男性)などと、複数のリスクを比較して判断している状況がうかがえた。

 避難情報は今年5月から勧告を廃止し、指示に一本化された。これについて82%が「知っていた」と答えた。一方で、「避難情報のエリアが広すぎる。同じ市内でも全く状況は違う」(福岡県筑紫野市の58歳女性)との指摘もあった。今回は長雨で、長時間にわたり避難指示が継続したり、市町村全域が対象になったりして、危機感が十分伝わらなかった可能性がある。

宿泊助成などで選択肢増やす仕組み必要

 東京大大学院の松尾一郎客員教授(防災行動学)の話 自宅にとどまった人の中には、事情があって災害リスクを承知で選択したり、そもそもリスクを把握できていなかったりする人がいると考えられる。新型コロナウイルスの感染拡大もあり、避難所以外に身を寄せる「分散避難」の意識が広がる一方で、危険な状況で自宅に残る人を安全な場所に促すため、行政によるホテルの宿泊費助成などで選択肢を増やす仕組みが必要だ。日頃から住民と自治体、気象台が情報共有し、事前の備えを進めていくことが求められる。

 アンケートは、多様な方々の声を聞き取るのが目的で、無作為抽出で民意を把握する世論調査とは異なります。

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