天神ビッグバン第1号、入居9割の船出 コロナ禍でも「満床落成」に迫る【動画】

 天神ビッグバンの規制緩和第1号案件「天神ビジネスセンター(BC)」が完成したことで、2015年に始動した大型再開発プロジェクトは大きな節目を迎えた。ただ、建設した地場デベロッパーの福岡地所(福岡市)が掲げた目標の「満床」は未達。足元ではオフィスの空室率が上昇しており、ビッグバンの本格化による高層ビルの大量供給には、期待とともに不安視する声もある。

 「最高で最強のテナント布陣が出そろった」。福岡地所の榎本一郎社長は4日に開いた記者会見で胸を張った。天神BCの入居企業には、NECやジャパネットホールディングスといった有力企業に加え、米ボストンに本社を置く外資系のボストンコンサルティンググループも名を連ねた。

 19年1月の起工式で榎本社長は「グーグルなど急成長するグローバルIT企業を呼び込む」との目標を口にした。巨大IT企業の進出がうわさされる中、榎本社長は「守秘義務で明らかにできない企業がある。(巨大ITが)入る可能性もある」と含みを持たせた。

 5棟のビルを解体して建設された天神BCは当初、16階建ての予定だった。航空法が定める建物の高さ制限緩和を受けて、地上19階、高さ89メートルのビルに設計を変更した。延べ床面積は約6万1千平方メートルもある。

 このうち入居が決まっているフロアは9割前後。福岡地所は天神BC開発を1996年開業の複合施設「キャナルシティ博多」に次ぐ大規模プロジェクトと位置付け、ビルの完成までに全フロアを埋める青写真を描いたが「満床落成」にはあと一歩届かなかった。

 オフィス仲介大手の三鬼商事(東京)福岡支店の集計によると、天神地区のオフィス空室率は、2019年9月に1・47%まで下がり「オフィス不足」の状態だった。だが、新型コロナウイルス禍による外出自粛に伴い、企業のテレワークが進展。事務スペースを縮小する動きが広がり、今年8月の空室率は3・52%となっている。

 天神で空きフロアが広がりつつある中、「天神ビッグバン」エリアである天神交差点の半径500メートル圏内では、多くのプロジェクトが進んでおり、今後もオフィスの新規供給が続く。

 大名小跡地では、積水ハウス(東京)などが米系高級ホテル「ザ・リッツ・カールトン」が入る高さ約111メートルの複合高層ビルを建設中。ビッグバンの「第2号案件」として22年12月の完成を目指しているこのビルは、3階と5~16階がオフィスフロアとなる。

 西日本鉄道(福岡市)が自社の福岡ビルと、天神を代表する商業施設だった天神コア、天神ビブレを一体開発する「福ビル街区建替プロジェクト」は再開発前に比べ商業エリアが縮小。8月末に閉館した三菱地所の商業施設「イムズ」も建て替えにより、オフィスと商業施設の複合ビルになるとの見方がある。

 米系不動産サービスのジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)はリポートで「福岡のオフィス市場は他都市と比べて優位にある」としながらも、市中心部のオフィスの平均空室率が「25年に6%に迫るだろう」と上昇傾向が続くとみる。

 ニッセイ基礎研究所の吉田資主任研究員は、開発後の天神地区のオフィス延べ床面積が従来の1・7倍程度になるとみており「福岡進出を決めかねている企業は多く、今後空室は増えそうだ」と話す。

 一方、吉田氏は「コロナ禍で外資系の誘致も厳しい環境だが、落ち着けば活発化する可能性はある」とも指摘。JLLの山口武リサーチディレクターも「グレードの高いオフィスが増え、街の国際競争力が向上すれば、長期的にはポジティブ(前向き)な材料になる」との見通しを示した。

 (布谷真基)

 

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