「一線越えた」日本郵政グループに浮上した“政治とカネ”

 不祥事が相次ぐ日本郵政グループに「政治とカネ」の疑惑が浮上した。全国の郵便局長による自民党参院議員の後援会活動に、日本郵便の経費が使われ、政治資金規正法が禁じる企業献金に当たるとの指摘が出ている。郵便局ネットワークの維持に危機感を抱く全国郵便局長会(全特)は、参院選で推す候補者を比例代表で党内トップ当選させ、政治力を誇示してきた。ある郵便局長は「政治活動に力を入れるあまり、一線を越えてしまった」と自戒を込めて語る。

 「カレンダーは後援会員やこれから入会してくれそうな人に配ってください」

 東北地方の局長は2019年と20年の暮れ、地区役員の局長からこう指示を受け、100部を配り切るよう求められた。

 後援会活動は業務外との位置づけで、勤務時間外や休日に支援者宅を訪問して配って回った。局長は「地域で100人も支援者を確保するのは不可能で、配れない分は捨てている。ノルマが厳しすぎる」と不満を漏らした。

 他にも複数の局長が西日本新聞の取材に100部を支援者に配布するよう求められたと証言する。

 さらに、関東地方の局長会の内部資料には「後援会名簿の全員に配布する」と記載。東海地方の局長が提出を求められた支援者の名簿にはカレンダー配布の有無を記入する欄があった。

 「20年版カレンダーの販売について」と題する全特の内部資料には「200万部作成する方向で調整中(1局100部)」「会社の予算で購入予定(調整中)」との記述があり、全特と同社の間で交渉が行われていたことをうかがわせる。

 九州の局長は「以前は、カレンダーは局長会側の予算で購入していた。会社経費で認められるようになったのは、全特が会社に選挙への協力を求めたからだろう」と推測する。

 全特は13年以降、3度の参院選で、自民党公認候補を擁立。いずれも比例代表で党内トップの票を獲得した。その政治力により、ゆうちょ銀行の預入限度額の引き上げなど、郵政の課題を解決してきたとアピールしている。全特役員を務めた経験がある局長は「会社は全特の政治力に依存している」と話す。

 熊本学園大の坂本正名誉教授(金融制度論)は「日本郵便は、局長たちの活動に口出しできず、チェック機能を失っているのではないか。政治との関わりが密接な企業であるだけに、政治活動と業務との線引きを明確にすべきだ」と指摘した。

(宮崎拓朗)

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