6時間の自転車旅の先に #この一枚

 温泉、焼き物、歴史、美しい海岸…。そんな佐賀の魅力を自転車で巡ってもらおうと、県観光連盟は今年、「佐賀サイクリングクラブ」のホームページ(HP)を立ち上げた。お勧めのコースや見どころ、最寄りのグルメなどを紹介。スポーツの秋を迎え、運動不足気味の記者が体験してみた。

 県観光課の大島宏美主事によると、クラブは平野が広がる県内を自転車でゆっくりと巡ってもらおうと企画した。県は2020年度からサイクリストの受け入れに力を入れ始め、今年に入ってからは県内各地に自転車置き場となるサイクルラックを設置。現在は約100カ所で利用可能だ。

 コースは、トンバイ塀が歴史を感じさせる焼き物の町有田や日本三大松原の一つ、虹の松原などを楽しめる有田―唐津(83キロ)▽のどかな田園風景が広がる白石町や海中鳥居が見られる太良町などを巡る有明海沿岸(80キロ)―など4コース。途中にある飲食店や宿泊施設、温泉なども紹介する。

 各コースには地図が掲載されているほか、難易度や景色、グルメ度を星の数で評価。体力に自信がない私は、国指定重要文化財の「筑後川昇開橋」や晩秋には真っ赤なシチメンソウが美しい吉野ケ里町-昇開橋コース(24・6キロ)を選んだ。

 秋晴れが心地よい10月上旬正午ごろ、吉野ケ里町の道の駅吉野ケ里「さざんか千坊館」をスタート。風を切り裂いて下る坂道は爽快だ。その後は平たんな道を進み、吉野ケ里歴史公園付近を通過した。

 公園内も回りたかったが、空腹には勝てず、長崎街道沿いに店を構える「まんえい堂 神埼宿場茶屋店」へ。人気の冷やしそうめんセット(税込み550円)をいただいた。

 この日の最高気温は30度を超え、ほてった体に冷たい神埼そうめんは最高のごちそう。野口裕貴常務によると、今年に入ってサイクリングで訪れる夫婦や友人が増えているといい、中には福岡県内から山越えしてくるつわものもいるとか。野口常務は「密も避けられるサイクリングで、少しでも多くの人が佐賀に来てほしい」と期待する。

 おなかも満たされたところで自転車をこぐ脚も軽快に。城原川沿いを抜けて佐賀市内に入った。職場の近くも通ったが、車で通る日常と違い、こんな道があったのか、こんな店があったのか、と新しい発見ばかり。自転車目線の街巡りは楽しい。

 市中心部を抜けて田んぼ道をしばらく進むと、遠くに赤い橋が見えてきた。筑後川昇開橋だ。「東洋一の可動式鉄橋」といわれた橋の歴史に思いをはせながら、しばらくぼんやりと眺めていると、いつの間にか太陽は西に傾いていた。

 最終目的地の干潟よか公園には午後6時前に到着。色づき始めたシチメンソウが、夕日に照らされ赤く染まっていた。約6時間の自転車旅の疲れが癒やされ、完走したことへの達成感に満たされていた。

 最初は少し不安だったが、実際に走ってみると、大きなアップダウンがない上、道も分かりやすく、初心者でも無理なく完走できるコースだった。今度はもっと上級者コースを、そして一人ではなく“誰か”とゆっくり巡ってみたい。

(岩崎さやか)

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