初の代表質問 政権側こそ具体策を示せ

 新政権の発足から日がたつにつれて、その輪郭がぼやけていく一方との印象が強い。逆にはっきりしてきたのは、新政権の看板政策がいまだ生煮えであるということだ。

 岸田文雄政権の発足後初めてとなる国会の代表質問が行われている。19日公示とされる衆院選の前としては最初で最後の国会論戦となろう。

 自民党総裁選から新首相選出の流れに有権者の関心が集まりがちだっただけに、野党にとってはようやく巡ってきた政権追及の舞台である。先陣を切った立憲民主党の枝野幸男代表は取り上げる政策課題ごとに「私たちの政権では」と前置きして党の衆院選公約をアピールした。

 注目されたのは、衆院選でも主要争点となる格差是正に関し「成長」と「分配」のどちらに重きを置くかという議論だ。

 分配重視の野党側は、岸田氏が総裁選で打ち出した金融所得課税の強化に照準を合わせた。

 現在の金融所得課税は富裕層に有利とされ、増税は格差是正策の一つとなる。新政権発足後の株価続落は市場がこれを嫌ったためともみられ、岸田氏は先送りに傾き始めていた。

 岸田氏は「他に取り組むべきことがある」とあっさりと優先順位を下げた。「新しい資本主義」という看板の下、所信表明演説で強調した「成長も、分配も」との両にらみの考えについても「まず成長を目指すことが極めて重要」と成長優先の色合いを強めた。答弁を聞く限り、安倍晋三政権の経済政策アベノミクスとの違いは一段と分かりにくくなってきた。

 野党は金融所得課税強化を公約にするなど与党との違いを打ち出すのに躍起だ。4野党が共通政策に盛り込んだ消費税減税など、財源の裏付けが疑問視されるものもある。野党側主張の妥当性や実現性を見定めるためにも、岸田氏が目指す分配の具体策の提示を急ぐべきだ。昨日示した政権公約でも、成長に比べて分配の記述が薄く、抽象論も目立つ。

 政府、与党が喫緊の課題とする新型コロナ対策でも「全体像を早急に示す」といった曖昧な答弁が続いたのも残念だ。

 ひな壇に並んだ新閣僚で発言の機会があったのは、質問者の甘利明自民党幹事長から答弁を促された小林鷹之経済安全保障担当相と牧島かれんデジタル相などごく一部にとどまる。

 新政権の政策だけでなく新閣僚の人となりについても、有権者にはまだ分からないことが多いはずだ。その意味で、衆院選前の国会論戦が代表質問で終わるのはやはり問題だ。今後もあらゆる機会を利用し、対立軸を明確にする論戦を求めたい。

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