なぜ夜の駐車場でうつ伏せに…動機は? うきは保険金殺人、謎多く

 福岡県うきは市で保険金を目当てに叔父を殺害したとして、殺人容疑で逮捕された会社役員松成英一郎容疑者(54)は「現場に行っていない」と一貫して容疑を否認している。捜査関係者などによると、容疑者は事件当日の午後8時ごろに電話で叔父を呼び出し、1時間ほど後には約30キロ離れた焼き肉店に入ったとみられている。移動時間を考えると、わずか20分ほどの間に、現場でうつぶせに寝た状態の叔父を車で繰り返しひいて殺害したことになる。動機も含めて核心部分には謎が少なくない。 (古川大二、田中早紀、長田健吾)

 叔父の会社員西村一敏さん=当時(64)=は4月2日朝、うきは市の空き店舗駐車場で自身の軽乗用車の下敷きになった状態で見つかった。車はエンジンがかかったままで、ボンネットが開き、付近には懐中電灯などが散乱していた。

 車の修理中に下敷きになったようにも見える状況だが、県警の鑑定で何度もうつぶせの状態でひかれた痕が確認され、事故に見せかけた可能性があると判断した。

 また県警は松成容疑者と西村さんが1日午後8時前後に数回、電話でやりとりをしたことを確認している。その直後、現場付近を走行していた車のドライブレコーダーに2人の車が止まっているのが写っていた。

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 関係者への事情聴取などから、松成容疑者は午後7時半すぎまで、経営する保険代理店(大分県日田市)におり、午後9時すぎからは福岡県筑前町の焼き肉店で知人らと会食していたとみられる。車の移動時間などを考えれば、西村さんを呼び出してから事件現場を立ち去るまでが数十分間。県警は、このうち容疑者が現場に滞在していたのは20分間ほどとみている。

 西村さんの遺体には車にひかれた以外の外傷はなく、酒や睡眠薬などを服用した形跡もない。何らかの方法で西村さんが寝そべるよう仕向けた可能性はあるものの、捜査関係者は「車の下に物を落としたので拾ってくれとでも言ったのだろうか。被害者が現場に来た理由も分からないままだ」と首をひねる。

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 県警のこれまでの捜査で、松成容疑者が西村さんに掛けられていた生命保険金約1500万円を受け取ったことや、事件前に自動車保険の保険金を増額し、事件後に受取人を親族から自身に変更した疑いがあることが分かっている。

 松成容疑者には事業での借り入れや住宅ローンなどの負債はあるが、「借金で追い込まれていたような形跡はない」(捜査幹部)。西村さんとのトラブルも確認されておらず、明確な動機は見えてこない。

 西村さんは松成容疑者が実質的に経営する運送会社(日田市)で働いていた。容疑者は弁護士に「事件の翌朝、会社に西村さんがいないのに気付いた。探していたら車の下敷きになっているのを見つけた」と説明しているという。

 松成容疑者の逮捕から13日で1週間。県警は事件前後の経緯を詳しく調べている。

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