最悪を見越せる政権がいい…「医療崩壊ってこれか」8月の記憶、不安な第6波

投じる ワカモノと衆院選②

 夜勤を終えて横になったのは午前11時ごろ。3時間ほどで目覚め、枕元のスマートフォンを手に取る。「あ、衆議院が解散してたんだ」。看護師のヨシコ(29)は届いていた速報を何となく読んだ。

 勤め先は福岡市内の病院の救急外来。新型コロナウイルス患者を昨春から受け入れている。「4、5カ所断られました。受け入れてください!」。救急隊員の悲鳴が電話の向こうから響いたのは8月下旬だった。

 あの頃、1時間に1人のペースで患者を出迎えた。感染対策のため、病院内の移動は制限され、車いすに乗せて炎天下の敷地内を遠回りで専用病棟に運ぶ。往復で約20分。汗だくの体に医療用ガウンが張り付き、水を飲む暇さえない。体重が1日で1、2キロ減る日もあった。「医療崩壊ってこのことか」

 今月初旬からコロナの患者は来ていない。「このまま落ち着いてくれれば」。同僚と言い合うが、街は緊急事態宣言が明ける間際から人であふれ、マスクをしていない中年男性も目につく。6回目の感染の波が来た時の対応が気になる。「最悪を見越して動いてくれる政権がいい」

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 衆議院が解散した午後1時すぎ。佐賀県のスグル(24)は、牛の餌を積んだトラックで、玄界灘沿いの道を走っていた。畜産会社の跡継ぎ。「選挙が始まるって感じは、まだないですね」

 生まれ育った町は暮らしやすい。子どもの医療費は町独自の補助が大きい。小中学校の給食費も無償だ。町の人たちは優しい。それなのに、町を出る若い人は少なくない。中学の同級生の3分の2は町の外で暮らしている。思い出が詰まった小中学校は少子化で廃校となった。

 コロナ禍の昨年、今年と子どもが生まれた。前回の衆院選は、親や周りが言うままに票を入れた。「政治は自分に何ら影響ないと思っていたから。でも今はちょっと違う」。息子2人が暮らす未来に思いをはせ、1票を使いたい。

(川口安子、平山成美、豊福幸子)

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