あの日の春秋:教育現場に“あめちゃん”を(2016年10月14日)

テレビによく登場する「大阪のおばちゃん」たち。素人なのに下手な芸人よりよっぽど話がおもしろい。さすがお笑いの本場だ▼「話しだすと止まらない」「値切る」「おせっかい」「服装が派手(特にヒョウ柄が好き)」。テレビが定着させたのはこんなイメージか。「いつもあめ玉を持っていて、誰にでもあげる」とのうわさも▼大阪のおばちゃんの“定義”にほぼ当てはまる、大阪在住半世紀の姉に真偽を尋ねた。「あめちゃんか? 持ってんで。一つ食べ」と言って三つくれた。うわさは本当だった▼見知らぬ人が困っていれば、「どないしたん」「こうしたらええんちゃう」とおせっかいを焼く大阪のおばちゃん。その際に「一つ食べる?」と差し出すあめちゃんが、場を和ませるコミュニケーションの道具になる▼親切心からのおせっかいが「いじめ」と見なされることがあるそうだ。文部科学省のいじめ防止対策協議会が示した具体例の一つ。算数の問題を考えていたAさんにBさんが善意で解き方と答えを教えたところ、自分で解きたかったAさんが泣きだしたら、Bさんの行為は「いじめ」なのだとか▼いじめの根絶は当然だが、対策も行き過ぎれば、うっかり物も言えず、級友が困っていても見て見ぬふりをする教室にならないか。「こないしたら」「ほんまや、ありがとう」。素直に話せるようになる“あめちゃん”が教育現場にも欲しい。(2016年10月14日)

 特別論説委員から 昨年度、小中高校などでいじめは減ったが、小中学校での不登校と小中高校生の自殺は過去最多に。新型コロナの影響らしい。休校やリモート授業などで顔を合わせる機会が減る一方、生活のリズムも乱れやすくなったそうだ。難しい時代である。よりきめ細かな“あめちゃん”が必要だ。ちなみに、おばちゃんはコロナに負けず、元気にあめを配っている。「一つ食べ。(包みは)消毒済みやで」(2021年10月17日)

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