『山桜』遠回りして兆す幸せ 田中麗奈、心のさざ波の万象演じ分け

フクオカ☆シネマペディア(59)

 福岡県久留米市出身の田中麗奈が主演する藤沢周平原作の時代劇「山桜」(2008年、篠原哲雄監督)。演じる主人公・野江は、良縁に恵まれず嫁ぎ先で苦労するが、遠回りして幸せの兆しが訪れる。その瞬間のほのかにはじけるような笑顔が、桜のつぼみが開くようで美しい。

 北国の小藩。初婚の夫の病死後、野江が嫁いだ磯村家は義父も夫も出世欲があらわで、貸金にも手を染める強欲家。権勢を振るう藩の重臣・諏訪を接待し、へつらっては取り入る。

 野江は武家の娘だ。再び嫁いだからには、と思うのだろう。むやみに従属を強い、一挙手一投足に冷たい目線を向ける夫と義父母にも従い、耐え忍ぶ。だが、夫らの下劣な姿には笑顔はつくれない。夫は...

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