除籍迫られ出馬断念…栗原陣営「脅迫だ」 自民、分裂回避でも火種残る

 衆院福岡5区の自民分裂問題は、新人の栗原渉氏(56)の出馬断念で急転直下の決着を迎えた。党執行部は前職の原田義昭氏(77)を公認した一方で、無所属での出馬も辞さない構えの栗原氏には除名を突き付け矛を収めさせた。1年以上続いた分裂騒動で両陣営には大きな溝が生まれており、候補者を一本化した野党との対決に暗雲もよぎる。

 「言葉にはなかなか表せない…」。党本部で記者団に出馬断念の思いを問われた栗原氏は、涙を浮かべて声を絞り出した。

 5区では県議や市町村議の約9割が栗原氏を支持し、県農政連など有力な支援団体の推薦も広がっていた。党本部での面談で「次の次の衆院選では公認」を条件に撤退を迫る遠藤利明選対委員長に対し、栗原氏は「支援者の皆さんを裏切れない。無所属で出る」と食い下がった。

 当初は党の決定を記した同意書への署名を固辞したが、関係者によると、署名しなければ、「除名」を通告されたという。栗原氏の支援者は「除名なら一生、党に戻れない。当選しても地元のために働けない」とおもんぱかった。

 分裂は回避されたものの、強引な幕引きに栗原氏の支援者は反発を強める。ある県議は「こんなことでは自民党は人を育てることができない」と落胆。支援者は「これだけ応援する人がいるのに降ろさせるのはまるで脅迫だ」と憤った。

 原田氏は公認決定後、記者団に「自民党一本でしっかり結果を出すことが大切だ」と語ったが、公示を目前に挙党態勢を築けるか不透明だ。昨年9月に栗原氏が出馬の意向を表明して始まった分裂騒動では、公認の正当性を巡って両陣営の批判合戦も過熱。栗原氏の陣営幹部は「いまさら原田さんをやれない」と突き放す。

 自民の一本化で、5区は与野党の一騎打ちとなる見通し。同区に出馬予定の立民新人の堤かなめ氏(60)は「分裂騒動は自民党の旧態依然とした権力闘争の象徴。古い政治を打破するために頑張る」と気を引き締めていた。(西田昌矢、下村ゆかり、川口安子)

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