「ネタの宝庫、やりがいあった」役目終えたスガさんが語る菅政権【動画】

【東京ウォッチ】

 社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」で、菅義偉前総理に扮(ふん)してきた山本天心さん(59)。官房長官時代から菅氏をウオッチし続け、時の政権の不誠実さやまん、不祥事を笑いに変えてきた。岸田文雄政権発足を受け、役目を終えた今の心境を聞いた。

 「安倍政権の間は、菅さんが総理になるとは全く思っていませんでした。実は、スガ官房長官の時は髪の分け目を本人と逆にしていたんです。お客さんで気付いてくれたのは1人だけ。菅さんがいかに無味無臭で、地味で目立たない存在だったかが分かると思います。それが昨年、あれよあれよという間に、総理になってしまった。メークも全部リニューアルし、かつらもしっくりくるまでに3回変えました」

 「最近ようやく総理の風格が出てきたと思っていたところだったんです。ただ、海外メディアの記者には、記者会見に同席することが多かった尾身茂先生(政府のコロナ対策分科会長)が総理だと思っていた人もいたみたい。そういうこともネタにしてきました」

 -どのような姿勢で演じてきたのか。

 「菅さんの本音って何だろうと探っている時は、本人になりきらないと言葉が下りてこないから、政権寄りの言葉が出ることもあるんです。とはいえ、今の政権のおかしさを笑い飛ばしたいというのがニュースペーパーの基本スタンス。菅さんになりきりつつ、かといってのみ込まれ過ぎないようにしながら、菅さんの上から目線の部分や説明不足で全然会話になっていない部分をデフォルメするようにしてきました」

 -ネタ作りには苦労しなかったか。

 「普通の芸人さんだったら何度も練習して、無駄なものがそぎ落とされてネタが完成していく。僕らはニュースを題材にしているからすぐにネタが古くなる。そういう大変さはあります。ただ、菅政権は日本学術会議問題、長男の接待問題、コロナ対応、ワクチン、東京五輪とネタの宝庫でした。常にネタを作れと背中をつつかれているような状態で、やりがいがありました」

 -お客さんの反応は。

 「政権の支持率が7割を超えていた時は、舞台に出ただけで拍手が鳴りやまなかった。たたき上げの菅さんへの期待が高かったんでしょう。それが次々にメッキが剥がれていき、後半は『もうおまえの顔なんて見たくもねーよ』という雰囲気になりました。お客さんの反応は、当時の政権の支持率を反映していました」

総裁選不出馬でネタ作り変え

 -菅さんの自民党総裁選への不出馬表明は、予想していたか。

 「不出馬表明は9月3日でしたが、翌日に京都で公演を予定していたんです。スガ総理が戦国武将のようにコマを動かし、どうすれば総裁選に勝てるか算段するコントをする予定だった。『岸田がやる前に二階さんの首を切らないと』とか、『こいつがこう動いたらあいつは出馬できないな』とかいろいろ考えた末に、スガ総理にみんなが驚くような妙案が浮かぶ。『それは俺が辞めることだ!』って。そしたら現実の方が先をいっちゃった。不出馬の速報が流れた時、僕は食事をしていたんですが、箸を上げたまま固まってしまった。急きょ作り変えないといけなくて大変でした」

 -菅さんは今どんな心境だと思うか。

 「本当にコロナ対策一本でやってきましたから、感染者がこれだけ少なくなっているのを見て、『辞めなきゃ良かった』って考えているんじゃないですかね。絶対に本人は口にしないですけど。これも偽物だから言えますが、国民に対して『俺は寝る暇も惜しんでやったのに、店を開けたり、飲みに行ったりしていたよな。おまえらにも責任あるんだよ』と思っているはず。一方で、国民の側から言わせてもらうと、自粛を続けられるだけの補償がありましたかと。補償がもっとしっかりしていたら、ワクチンが広く行き渡るよりも前に、感染者は抑えられたと思います。公演の時、僕はお客さんを相手に世論調査をする。『支持率低迷であえいでいるけど、来月1人200万円の給付金を差し上げます。政権を支持する人』と聞くと、ほとんどの人が手を上げます。確実に分かったことは、支持率はお金で買えるということです。そこが人間の本質なのかもしれませんね」

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