「分配」「ぶれ」守勢に回った首相 立・共の「閣外協力」は追及

 岸田文雄首相(自民党総裁)、立憲民主党の枝野幸男代表ら与野党9党のトップが顔をそろえ、衆院選公示直前に激しく火花を散らした18日の討論会。野党側は首相が掲げる分配政策を「中身がない」と追及し、与党側は立民の「政権運営」方針に批判を集めて応酬した。

 「一部の人間(富裕層)ではなく幅広い方々に分配の成長の果実が行き渡り、広く所得が上がることが重要。そのことで経済成長と分配の好循環を実現する」

 分配について、首相はこう説明したものの精細さと説得力に欠け、枝野氏からは「分配も何もあったもんじゃない」とやり玉に挙げられた。「ぶれ」を指摘された金融所得課税強化を巡る自身の発言を巡っても、首相の答弁は守勢に。「法人税、金融所得課税は、経済全体の活力や循環も合わせた上で、具体的なありようを考えていくのが道筋だ」と話すのが精いっぱいだった。

 逆に、首相が枝野氏に切り込んだのが、立民中心の政権が樹立された場合、締結した共通政策を実現する範囲内で限定的に、共産党が閣外から協力するという枠組みだ。「共産は、自衛隊は違憲、日米安保条約は廃棄、と主張している。有事が生じた場合に閣外協力で調整が進むのか-」

 この攻防の後景には、閣外協力の合意により、野党候補者の一本化が全国210前後の選挙区まで積み上がりつつある事情がある。連立パートナーの公明党・山口那津男代表も「どのような政権の枠組みを国民に示すのか」と畳み掛け、野党共闘に加わらない日本維新の会の松井一郎代表は「外交防衛政策で一致せずに選挙協力するのは、有権者に対するごまかし。あまりに無責任だ」と主張、援護射撃に加わった。

 これに対し、枝野氏の答えは「枝野内閣として責任を持って有事に対し、毅然(きぜん)とした対応を取る」だった。共産の志位和夫委員長は、立民側の法案などに反対することがあるかを問われ「あり得る。すべて共同責任を負うという立場ではない。自公政権を代える要になるもの(政策)で協力していく」とした。

 また、新型コロナウイルス対策でも、首相が総裁選時に打ち上げながら、自民の衆院選公約には入らなかった「健康危機管理庁」を巡るやりとりがあった。「まったく取り下げていない。危機管理の在り方を再総点検する上で議論を進める」と首相があくまで意欲を示すと、枝野氏は政権奪取時には「ワクチン担当大臣という屋上屋をやめる」と話し、官房長官をトップとする司令塔組織を設置すると訴えて対抗心をむき出しにした。

 (東京支社取材班)

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