「信用ならない政治はいらない」衆院選、党首の第一声に有権者が思うこと

東京ウオッチ

 19日、第49回衆院選が公示され、党首たちは各地でマイクを握りしめた。立ち止まり耳を傾けた有権者は何を感じ、何を政治に求めるのか―。4人の記者が尋ねた。

@東京・JR新宿駅 共産党の志位和夫委員長が第一声

 「ほんとに最低賃金1500円に上がるのかなぁ。そうなるとうれしいですけど」(19歳・女性)

 この女性は奈良県から旅行で訪れ、友人との待ち合わせの間、スマートフォンを触りながら、聞くともなしに演説を聞いた。「最低賃金を1500円に引き上げる」との共産の公約が、印象に残ったようだ。政治に抱く疑問はないんですか? 質問してみると、「東京五輪はやらなくてもよかったかなぁ…」。選挙権を得て2年目。「投票には必ず行きますよ」と話した。

 「まだ難しいと言う人もいるけど、今回の選挙で政権交代できると信じてます」(66歳・男性)

 この男性は、「働く人の使い捨てをやめさせる」などと主張する志位氏に拍手を送っていた。安倍晋三、菅義偉両政権の新型コロナウイルス対応を疑問視している。「第5波」では病床がひっぱくし、自宅療養中に亡くなる人が相次ぎ、自分も命を失うかもしれないと思ったという。野党共闘に期待し、「もう政権交代しかない」と力を込めた。

@神奈川・JR川崎駅 公明党の山口那津男代表が第一声

 「新型コロナの終息に全力を尽くしてほしいんです」(60歳・女性)

 公明党の熱心な支持者というこの女性。夫が介護関連の仕事に就いていることもあり、ウイルスの感染拡大抑止に高い関心を抱いている。連立を組む自民党の総裁選では、大臣としてワクチン接種進展の特命を担った河野太郎氏が勝利することを期待していた。岸田文雄首相のコロナ対策は、肝心な部分が曖昧に見えてしまう。「国民の疑問に明確に答えられるリーダーが日本には必要だと思います」

 「コロナのことがあって、政治には何も期待できなくなった。信念を持って政治を変える人が出てきてほしいです」(37歳・女性)

 この女性は、2歳になる長男と一緒に偶然、通り掛かった。子どもの将来を考えると、教育費など心配は尽きない。次世代のためには「地球規模の温暖化とか、環境問題も気にかかります」。では、政治は-。感染状況が悪化する中で「Go To キャンペーン」を推進したり、今夏には緊急事態宣言下で東京五輪を開催したり。どうしても「ちぐはぐな対応に映ってしまう」と漏らす。

@福島・土湯温泉 自民党の岸田文雄首相(党総裁)が第一声

 「これから観光の復興に力を入れていく。そういう決意と受け止めました」(45歳・男性)

 地元観光協会のメンバーであるこの男性は、東日本大震災の被災地を最初のメッセージを発する場所として選んだ首相に、率直に期待を寄せた。首相は、16日には岩手、宮城両県を訪問し、17日にも福島県の東京電力福島第1原発を視察したばかり。実は、昨秋にも土湯温泉を訪れ、この男性が案内役を務めたことがあった。「岸田さんが来てくれたことで土湯温泉の情報が発信されて、励みになります」

 「最近はだいぶ歯切れが悪いですね…」(53歳・男性)

 この男性は温泉地の旅館従業員として働いているが、首相の言葉に逆の印象を抱いていた。党総裁選に立候補した当初と比べて、どうしてもトーンダウンしているように感じてしまう。「Go To キャンペーン」をはじめ、コロナ禍で疲弊した観光地を救う社会経済対策を切望するものの、「経済対策が急に後ろ向きにならないか」との不安を拭えない。

@東京・JR阿佐ケ谷駅 立憲民主党の枝野幸男代表が演説

 「うそをつかない、正直な政治を進めてほしいんです。信用ならない政治はいらない」(37歳・男性)

 そこそこの大企業に勤めており、支持政党はないこの男性。安倍・菅両政権で、森友学園問題や「桜を見る会」問題などが相次ぎ、十分に説明責任が果たされなかったと憤る。「普通の会社で、トップが黙ってごまかすなんてあり得ないでしょう」。選挙期間中、候補者の演説に出くわせば足を止めて聞き入るつもり。投票基準を問うてみると、「正しいことをする政治家は誰か」と答えた。

 「自分が心配すると思って母は何も言わないけど、きっと生活は苦しいはずなんです」(19歳・男性)

 大学受験に浪人中のこの男性が注目するのが、多くの政党が選挙公約に掲げる「現金給付」だ。母はシングルマザーで、男性には中学3年の弟もいる。「来年は兄弟でダブル受験。お金がかかるんです」。安倍政権が昨年、全国民を対象に実施した一律10万円給付は、家計の大きな助けになった。有権者となって、初めて迎える衆院選。特に、教育政策に耳を澄ませたいと思っている。

(久知邦、大坪拓也、井崎圭、郷達也)

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