衆院選公示 1票は決して無力でない

 4年ぶりの総選挙を待ちかねていたかのように、さまざまな団体が投票を呼び掛けるキャンペーンを展開している。

 俳優やミュージシャンによるネット動画「VOICE PROJECT(ボイスプロジェクト) 投票はあなたの声」は衆院解散から2日後の16日に公開され、再生回数は35万回を超えた。

 若い世代を中心に14人が「まず意思を示さないと」と語り、投票することを宣言する。女性の俳優は「言いたくても言えなかった人たちがいっぱいいるのに、言えるのに言わないのはもったいない」と女性に参政権がなかった時代に思いをはせた。

 NPO法人代表らによる取り組み「目指せ!投票率75%」は、4万人以上のアンケート回答を基に「みんなの争点」をネット上に発表した。ハラスメント禁止や労働環境の男女格差解消、教育費の負担軽減といった現役世代が実感しやすい課題を発信している。

■公約に関心を持とう

 衆院選がきのう公示された。市町村によっては、きょうから期日前投票も始まる。

 新型コロナ禍で社会が傷んでいる今だからこそ、全ての有権者が暮らしと政治との結び付きを意識して1票を投じたい。

 昨春以降、コロナ感染拡大の波が幾度も押し寄せ、社会・経済活動への影響は長期化している。

 思いがけない感染で命が脅かされる。なりわいが立ちゆかなくなる。雇用や家計が不安定になる。家族との接点が失われる。望んだ医療が受けられない。

 こうした個人の力ではどうにもならない事態に陥った場合に頼るのが国や自治体の支援、いわゆる公助である。

 そのありがたみをコロナ禍で実感した人がいる。もどかしさや憤りを覚えた人もいよう。どちらにせよ、政治を身近に感じるきっかけになったのではないか。

 暮らしや経済、社会の痛みを和らげる政策は、有権者が選ぶ政治家の判断に左右される。政府、与党の対策と時期が適切だったかどうかは、衆院選の主要な論点となる。感染「第6波」への備えにも着目したい。

 投票の判断材料はコロナ対策だけではない。手掛かりになるのは各政党が発表した公約だ。

 公約は内政から外交、防衛まで多岐にわたる。全てに興味が持てなかったら、関心があるテーマ、実感が持てる政策だけでも読み比べることを勧めたい。関連する本や記事、識者の論考などを参考にすると理解が深まる。

 公約に100パーセント賛同できる政党や候補者はないかもしれない。そんな人は「よりまし」な選択をするといいだろう。

■放置できぬ低投票率

 衆院選の投票率は3回続けて50%台にとどまり、前回は過去2番目に低い53・68%だった。当時の安倍晋三首相は「国難突破のための解散総選挙」と説明したが、有権者の2人に1人が背を向けた。20代は30%台に沈んだ。

 有権者の半数しか投票せず、与党第1党はさらにその半数程度の支持しか得られていない。憂慮すべき状況である。

 選挙を通して政党と有権者が解決すべき課題を共有することは民主政治の土台だ。低投票率を放置しておくわけにはいかない。

 投票離れの背景には、政治への無関心に加え、諦めもあろう。自分一人が投票してもしなくても何も変わらないと考えがちだが、決してそうではない。

 2000年の衆院選で、当時の森喜朗首相が支持政党のない無党派層について「関心がないといって、寝てしまってくれれば」と発言した。これで無党派層が目を覚ましたのだろう。投票率は60%を超え、与党の敗北を導いた。

 岸田文雄首相は今回の衆院選を「未来選択選挙」と名付けた。その言葉通り、未来の針路を選ぶのは私たち有権者である。政治を動かす力がある1票を眠らせておくわけにはいかない。

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