「本気の共闘」野党、浮沈懸け持ち込んだ「1対1」

 野党は、多くの選挙区で与党との1対1の構図に持ち込んだ。消費税減税など所得再分配を中心に訴え、分配の手法や時期が明確になっていない自民党との対立軸を鮮明にした。

 「一部の大企業は潤ったが、皆さんの賃金は実質的に下がったというのがアベノミクスの9年間の結論だ。所得を再分配し、『1億総中流社会』を取り戻す」

 立憲民主党の枝野幸男代表は松江市での第一声で、アベノミクスの失敗に照準を定めた。介護士や保育士など非正規職員を正規にし、賃金を向上させるといった具体的な分配策をアピールし、安倍路線を継承する岸田文雄首相との違いを強調した。

 保守王国・島根を選んだのは「格差の固定化や貧困拡大といった問題の多くは、地方が受けてしまっている」(枝野氏)との思いからだ。枝野氏は「私たちには具体的プランとビジョンがある。皆さんの力で時代遅れになった政治を変えよう」と力を込めた。

 演説では、旧民主党時代に人気だった戸別所得補償制度の復活も強調した。公約には年収1千万円程度までの所得税の実質免除や低所得者への年額12万円給付などを柱に据える。だが、分配の原資は国の借金である国債に頼っている。

 野党は今回、立民を筆頭に、共産党、国民民主党、れいわ新選組、社民党の5党が全289小選挙区の7割超で候補者を一本化した。

 20選挙区以上で候補を取り下げた共産の志位和夫委員長は東京・JR新宿駅前の第一声で「政権交代には本気の共闘が必要。共通政策の消費税減税などは、岸田首相には逆立ちしてもできないものばかり。共闘の政策的旗印は立派に立っている」とボルテージを上げた。

 ただ外交安全保障などの考えが違う立民と共産の共闘には、与党からの「野合」批判が日増しに強まっている。立民中心の政権ができた場合、共産が「限定的な閣外からの協力」をすることも有権者には分かりにくい。枝野氏は「立民の単独政権」を表明したが、立民最大の支持母体、連合は共産との連携に反発しており、選挙協力への影響も懸念される。

 一方、岸田政権に是々非々で臨む日本維新の会の松井一郎代表は、本拠地の大阪市で第一声。「分配しようと思えば改革が必要だ。税金の使い方がおかしいところにメスを入れる」と身を切る改革を強調した。

 国民の玉木雄一郎代表は長崎市入りし、長崎1区で安倍晋三元首相の元秘書の自民新人と争う国民前職の出陣式で第一声。「これまでの古い政治を続けるのか、国民のための信頼できる政治を取り戻せるかが最大の争点だ」と対決姿勢を強めた。

 (郷達也)

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