「72」「44」数字で読み解く勝敗ライン

 岸田文雄首相は、衆院選の勝敗ラインを「与党過半数(233議席)」に据える。自民党内には276議席の公示前勢力からの減少は「織り込み済み」で、減り幅が焦点となる。仮に自民が単独で過半数を割り込めば、首相の責任論につながりかねず、低めの設定で予防線を張ったとみられる。野党は共闘をてこに政権交代を訴えている。与野党ともに「風」が読めない選挙戦となりそうだ。

 自公両党の公示前勢力は305議席。首相が掲げる勝敗ライン233議席は、自公で72議席減っても達する「最低ライン」(自民幹部)だ。自公は2014、17年の衆院選では大勝している。

 今回は“順風”とは言えない。自民党が実施した独自調査を踏まえ、政府、党内には「20~30議席は減らす」との見方がある。ただこの下げ幅なら、予算や法律を円滑に成立させるのに必要な安定多数(244議席)には達する。さらに、公明党の議席を加えれば、絶対安定多数(261議席)も確保できる情勢だ。

 だが、岸田政権の内閣支持率は期待されたほど伸びなかった。共同通信社の世論調査では、菅義偉前政権末期からは盛り返したものの55・7%だった。

 「ご祝儀相場」の追い風を感じる議員は少なく、当落線上にいる「魔の3回生」を中心に危機感が広がっている。仮に自民が44議席以上減らし、単独過半数を割る事態になれば、来年夏の参院選に向け「岸田降ろし」につながる可能性も否定できない。

 一方、立憲民主党は今回、定数465議席の過半数を上回る240人を擁立した。共産党が候補者を取り下げ、野党共闘が進展。政権交代への足掛かりを目指す。立民の枝野幸男代表は勝敗ラインについて「全員当選を目指す」としているが、前回ほど立民に追い風は吹いておらず、公示前の110議席からどれだけ上積みができるかが焦点だ。

 枝野氏は政権交代の実現性について「5割以上あるなんて決して言わないが、大谷翔平選手の打率(2割5分7厘)ぐらい」と述べ、現実的には厳しい情勢だ。

 (古川幸太郎)

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