直前の分裂回避、市長選余波…衆院選公示、九州の注目区を歩く

 衆院選が19日に公示され、31日の投開票に向けて12日間の選挙戦が始まった。公認問題で直前まで分裂含みだった選挙区、終わったばかりの市長選のしこりが懸念される選挙区。九州の注目選挙区の情勢を探った。

 福岡5区

 直前まで公認問題、野党は一本化

 自民前職と立民新人の一騎打ちとなった福岡5区。自民は公示直前に前職と新人の公認問題が決着し分裂を回避したものの、しこりも残る。野党は共産が立候補予定者を取り下げ、一本化。選挙協力がどこまで進むかも焦点だ。

 「今回の選挙にはさまざまないきさつがあったが、自民党福岡5区が一体化し、これからの地元を守り抜く決意だ」。自民前職の原田義昭氏は、福岡県太宰府市で力を込めた。5区は原田氏と元県議が1年以上にわたり公認を争い、地方議員の多くが元県議を支持する中、党本部は原田氏を公認。分裂騒動の余波は続いており、出陣式では「一致団結」「一枚岩」などの言葉が次々に聞かれた。

 立民新人の堤かなめ氏は同県春日市のグラウンドで「旧態依然の政治から脱却しないと、国は良くならない」などと第一声。街頭演説では立民や社民などの地方議員や労組関係者らがマイクを握った。地元県議が「自民党に間違いを認めさせるためにも、立民にがんばってほしいという声は多い」と呼び掛けると、「しっかりと声を受け止めていきたい」。反自民の受け皿をアピールした。

 福岡10区

 前職が4度目対決、2新人も名乗り

 福岡10区は4度目の対決となる自民前職と立民前職に加え、維新新人と無所属新人が名乗りを上げた。

 「野党の力合わせで今、接戦まで押し上げていただいている」。立民前職の城井崇氏は、北九州市小倉北区の事務所前で、支援者にこう訴えた。共産が候補擁立を見送り、共産票の取り込みが勝敗の鍵となっており、「政権の受け皿」を前面に出して選挙カーを走らせる。

 岸田首相率いる派閥の副会長を務める自民前職、山本幸三氏は、同区の勝山公園での出陣式で「新総理と力を合わせて国民生活を守り、北九州を元気にしたい」とアピール。党内規の年齢制限から比例重複立候補ができなかった。9期目を狙うベテランは「背水の陣」と危機感を示した。

 維新新人の西田主税氏は、同区の旦過市場前で第一声を上げ、「自公政権が続けば、日本の衰退は止まらない。長期政権が続けば議員の緊張感がなくなる」と力を込めた。立民と共産の共闘も「選挙目当てだ」とばっさり。城井、山本両氏の争いに割って入る姿勢を強調した。

 無所属新人の大西啓雅氏は、街頭演説などの選挙運動はしないという。

 佐賀1区

 分裂、敗北…市長選の余波読めず

 佐賀1区は自民前職の岩田和親氏と立民前職の原口一博氏による4度目の対決となった。2連勝中で9選を狙う原口氏に対し、雪辱に燃える岩田氏。いずれも17日投開票された佐賀市長選の余波に気をもみつつ、第一声を上げた。

 「(小選挙区で)2回敗れて後がない。結果が出なければ身を引かなければならない。そういう決意で臨む」。岩田氏は佐賀市での出陣式でこう叫んだ。市長選では自民推薦の新人が勝利。前回自主投票だった政治団体「佐賀県農政協議会」の推薦も追い風だ。一方で自民系が分裂した市長選のしこりや、公示日まで公明党の推薦が出ないなど不安要素も。「ふるさと佐賀を元気にする」と強調した。

 立民の原口氏も、市長選で元市部長の新人を全面支援しながら敗北し、陣営関係者は危機感を強める。前回は無所属で出馬して岩田氏に2万6千票以上の差をつけた。今回は立民から立候補し、共産が支援する。第一声では、野党の求めに応じず臨時国会を開かなかった政府を批判し、消費税減税などを訴えた。「命と暮らしを助けるために、この選挙は絶対に負けられない」と拳を握った。

 長崎1区

 「安倍政治」の論戦の場に

 長崎1区は安倍晋三元首相の秘書を17年間務めた自民新人の初村滝一郎氏、前回は希望から出馬し自民候補を破った国民前職の西岡秀子氏、共産新人安江綾子氏の三つどもえとなった。初村氏は秘書時代に培った経験や人脈をアピールし、野党側は「安倍1強」時代に相次いだ公文書改ざん問題などを念頭に政治路線の転換を訴えた。

 初村氏は出陣式で「皆さまの声に寄り添うことができるのは責任政党である自由民主党」などと主張。応援弁士が「安倍元首相の秘書としてさまざまな省庁にパイプがある」と紹介、安倍氏のメッセージが披露されると拍手が湧き起こり、日章旗を振る支援者もいた。

 西岡氏の出陣式には、同区を最重点選挙区と位置付ける玉木雄一郎党代表が駆け付けた。玉木氏は「うそや偽りのない正直な政治を取り戻そう。長崎1区はその象徴」と語気を強め、西岡氏も「与党議員では伝えられない切実な声を国政に届けたい」と訴えた。

 安江氏は出発式で「政権交代」の必要性を強調。「岸田政権が安倍・菅政権を引き継ぐもの」とし、対決姿勢を強めた。

 沖縄3区

 19年補選に続く一騎打ち

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先、名護市辺野古を抱える沖縄3区は、立民前職の屋良朝博氏と自民新人の島尻安伊子氏が立候補。2019年の補欠選挙に続き、両氏の一騎打ちとなった。来年1月の名護市長選の前哨戦とも位置付けられている。

 「安倍、菅政権は沖縄の民意なんてこれっぽっちも聞いてくれなかった。民主主義を国民の手に取り戻す」。屋良氏は沖縄市での出発式で、県民投票で反対の意思が示されながら、辺野古移設を強行する政権への批判を強めた。移設に反対する政党、団体でつくる「オール沖縄」が支援。3区で衆院議員を務めた玉城デニー知事も駆け付け「再び議席を与えてください」と支持を呼び掛けた。

 島尻氏は沖縄市や名護市で出陣式。「沖縄振興の予算を持ってくる。この仕事をやらせてほしい」と声を張り上げた。容認する辺野古移設には触れず、地域振興を訴えた。参院議員時代に沖縄北方担当相も務めたが、前回補選は約1万8000票差で敗れた。今回は公明との連携を強化。公明の比例候補と並び「私たちを勝たせてください」と頭を下げた。20日は菅義偉前首相も応援に入る。

関連記事

福岡県の天気予報

PR

開催中

だざいふ子ども絵画展

  • 前期2021年11月11日(木)~23日(火・祝)、後期27日(土)~12月10日(金)
  • 太宰府市文化ふれあい館 エントランスホール
me music マリンワールド海の中道 外洋大水槽前から

PR