9年間続いた「1強政治」の評価が問われる

 衆院選が公示された。発足からわずか2週間の岸田文雄政権に日本の明日を託してよいのか。衆院予算委員会質疑を行わないまま選挙に突き進む政治姿勢は、安倍・菅政権とダブる。約9年間続き、功罪が言われる安倍・菅政権の「1強政治」をどう評価するかが問われている。

 1年置きに首相が交代する政治状況を変えたのが安倍晋三政権だった。2012年から7年8カ月にわたって政権を維持。日米関係を中心に安定した首脳外交を築いた。

 半面、長期政権の弊害も目立った。岸田政権の力量が未知数だけに、4年前の前回衆院選からの「官邸主導」「国会軽視」の状況に焦点を当てたい。

 国民の今の関心事は新型コロナウイルスだろう。感染第5波は衆院選前に収まったが、「官邸主導」の場当たり的な対策に、国民は振り回され続けた。

 菅政権では、ワクチン接種と病床確保が後手に回った。憲法に基づき野党が求める国会質疑を拒み、行動自粛の呼び掛けを繰り返すばかり。国会は国民の代表である議員が政府をただす場だ。そこから逃げる政権の「国会軽視」は「国民軽視」と同義だろう。その政治環境を生んだのが「自民1強」によるおごりだと考える。

 安倍政権でも昨年2月、突如として全国の学校に休校を要請し、子育て世代を混乱に陥れた。当時は新型コロナの子どもの感染例は少なく流行阻止の効果が乏しいため、文部科学省が「休校判断は自治体に委ねる」と通知したわずか2日後だった。

 各党の選挙公約の景気対策は、規模や財源が曖昧で、国の借金をひ孫の世代にまで背負わせるかのようなばらまき型が目立つ。だが、政治を嘆くばかりでは、デジタル化やグローバル化などさまざまな分野で国際競争力を失いつつある日本の未来は危うい。これまで続いた「1強政治」をどう評価し、どう投票行動に表すか。有権者自身が投票で「国民の声」を届け、国政に緊張感を取り戻したい。

(東京支社長兼編集長・椛島滋)

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