あの日の春秋:知性の差が顔に出るらしい(2013年10月24日)

読書の秋。作家の城山三郎さんは「今の時代、読書をする人が少なくなりました」と話していた。作家仲間の吉村昭さん、佐野洋さんとの座談の中でのことだった▼「財界人や官僚の上のほうには読書家が多い」という話になり、「政治家はどうだろう」となった。大平正芳、中曽根康弘、宮沢喜一の3氏の読書好きがエピソード付きで語られていた(「対談集『気骨』について」新潮文庫)▼次のようなやりとりも出てくる。吉村さん「読みそうもない政治家の顔って、すぐわかりますね。読書してない政治家は信用できないな」、城山さん「ほんとだ、ほんとだ。わかる(笑)。顔に出ますね」▼ずっと以前に新潮文庫のCMで使われたキャッチコピーを重ねてみると、味わいが増す。〈知性の差が顔に出るらしいよ……困ったね〉。俳優の桃井かおりさんがつぶやいていた▼コラムニストの天野祐吉さんは「広告は時代の気分を映しとる」と書いていた。雑誌「広告批評」の編集長を長く務め、広告表現から時代を読み解き続けた天野さんは、辛口のユーモアをまぶした語録を残して先日、80歳で亡くなった▼昨冬の総選挙直前、各党のスローガンについて朝日新聞のコラムに書いていた。「どれも調子がいいだけで、言葉が息をしていない」「結局は言葉より顔で選ぶのがいいということになる。顔には中身がモロに出ているからだ」。政治家のみなさん、困ったね。(2013年10月24日)

 特別論説委員から 総選挙は次の日曜が投開票日。国政を託す相手に迷ったら、各党の公約と党首の顔写真をじっくりと見比べてはいかが。言葉は息をしているか、顔に知性は出ているか―。新潮文庫にはこんなキャッチコピーもあった。〈知性って、すぐ眠りたがるから……若いうちよ〉。つぶやきは有権者にも向けられている。知性を眠らせず、よく考えて1票を。(2021年10月24日)

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