少子化対策 財源と優先順位の議論を

 加速する一方の少子化にどう歯止めをかけるのか。今回の衆院選で議論を深めるべき、待ったなしの課題である。

 年間の出生数が90万人を切ってわずか2年後の今年だが、80万人を下回ることが濃厚になっている。国の従来の推計より9年も早い。新型コロナ禍がもたらした将来不安の増大や雇用の悪化が影響したとみられる。

 超高齢社会の日本で少子化が進むと、働き手が不足し、経済や社会保障の土台が揺らぐ。

 1人の女性が生涯に産む子どもの数を表す合計特殊出生率は5年連続で低下し、昨年は1・34になった。これをまず政府目標の1・8に近づけるため、あらゆる手を打つ必要がある。

 保育の受け皿整備、教育の無償化、不妊治療の支援など対策は確かに積み上げられてきた。それでも、まだ十分とは言い難い。国立社会保障・人口問題研究所の調査では、夫婦が理想とする子どもの数を持たない理由で最多は「子育てや教育にお金がかかりすぎる」ことだ。

 女性を中心に右肩上がりで増大していた非正規雇用がコロナ禍で、減少に転じた。不安定な雇用では、夫婦共働きでも子どもの養育に不安を覚えるのは当然だろう。雇用の安定や賃金の向上とともに、子育て世帯の負担軽減をさらに進めるべきだ。

 家事や育児の負担が女性に偏っていることも出産に二の足を踏ませる要因だ。古い性別役割分業意識から脱却し、夫婦がともに家事・育児を担えるよう柔軟な働き方改革を進めたい。

 各党は公約に競って少子化対策を打ち出した。給付金や無償化拡大といった方向性も似通っている。日本は出産や子育て、教育への公的支出が少なく、国内総生産(GDP)に占める割合は欧州諸国に見劣りする。それは公的支援がもっと届いてよい人々の存在をうかがわせる。

 今後、多様な少子化対策に相当な予算が注がれることになるだろう。問題は、財源をどう確保するのか、施策にどんな優先順位を付けて限りある財源を投入するかだ。各党は具体的な考えを示し、議論してほしい。

 菅義偉政権で、子育て支援など子どもに関する諸施策の司令塔となる「こども庁」創設が浮上した。各省庁の事業や要員を寄せ集めただけの組織では、多くは望めないだろう。「縦割り行政」の弊害を打破し、関連施策の効果的連携や一体化をどう進めるのか。ここでも、各党の政策立案能力が問われる。

 子どもを望む人が諦めずに済む社会を実現するため、どのような中長期戦略を描くのか。日本政治全体の難題である。

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