不登校生が戻ってきた コロナ下の新しい「教室」

 新型コロナウイルス禍で不登校の子どもが増える中、北九州市や熊本市は不登校の子どもを対象にしたオンライン教室を始めた。対面授業に参加できなくてもオンライン授業には参加できた子がいたことが背景にある。両市ともに専門スタッフを配置し、子どもと双方向でやり取りできる教室を開いている。情報通信技術(ICT)の活用で従来はできなかった授業ができるようになった。多様な学びの機会を確保する試みとして注目されている。

「オンラインなら届く子もいる」

 9月中旬、熊本市中央区の本荘小。ともに40年近く小学校教員をしてきた西尾環さん(61)と天野和也さん(60)がテレビ会議システムで数人の児童とつながった。

 ユーモアを交えつつ天候や学習に関する雑談をしてクイズを出題。児童はチャットで回答した。漢字や計算、専用アプリで写真を撮影してアニメを作成する学習が続いた。最後はこの日の振り返り。ある児童は「楽しかった。また来ます」という感想を出し、手を振ってオンライン教室から退出した。

 終始、和やかに話した西尾さん、天野さんは「誰かとつながり、学びを楽しむきっかけになれば」。美術館から中継したり、NHKの動画を選んで視聴したりする日もある。

 一斉休校が行われていた昨年4月、市内の小中学校でオンライン授業を行うと不登校生も参加した。オンラインで教員から個別の学習支援を受けて、通学できるようになった中学生もいた。

 「対策をしても不登校は増える一方だったが、オンラインなら届く子もいることが分かった」と市教育委員会の担当者。小中に1校ずつ拠点を置いて9月からオンライン教室を始めた。昨年度、熊本市内では不登校の小中学生は約1500人で、これまでに101人が申し込んだ。

登校しない罪悪感が軽減できる」

 北九州市も8月から中学生向けにオンライン教室を開始。教員が身近なテーマから各教科につながる話をして、生徒が随時チャットで答える。これまで学校は不登校生を対象に所属学級の授業中継を実施していたが、今回の教室は長く休んで学習が追い付いていない子を想定し、189人が申し込んだ。担当者は「教員とやりとりをすることで、学習意欲の向上や規則正しい生活習慣の定着につながれば」と話している。

 文部科学省の調査では2020年度、全国の国公私立の小中学校で30日以上欠席した不登校の児童生徒は約19万6千人に上り、過去最多となった。一斉休校で生活のリズムが乱れたことなどが影響したとみられている。

 文科省は8月、ICTを使って登校できない子の学習を支援するよう、全国の教育委員会に通知している。同省の担当者は北九州、熊本両市の事例について「注目に値する。その子の個性や進路に適した学びを提供することが重要」と話している。

 九州大大学院の増田健太郎教授(臨床心理学)は「授業を中継するよりも、北九州、熊本両市の取り組みの方が子どもに合った支援がしやすい。両市とも所属校の出席扱いにしており、登校しない罪悪感が軽減できる。比較的すぐに始められる取り組みであり、多くの自治体が見習うべきだ」と指摘した。

 (四宮淳平)

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