独自報道のSNS転載禁止…中国当局がネット報道統制を強める理由

 【北京・坂本信博】インターネットの利用者が10億人を超える中国で、当局がネット上の報道統制を強化している。今月に入り、民間企業の報道事業への参入を禁止する方針を示したほか、20日には、会員制交流サイト(SNS)の運営元などが転載可能なメディアのリストを5年ぶりに更新。国営通信の新華社など官製メディアや政府系のウェブサイトが大半を占め、独自報道で知られるニュースサイトが除外された。

 中国政府は今月上旬、民間企業が通信社や新聞社、テレビ局を設立・経営することを禁じ、外交や政治、経済、軍事、教育、文化、スポーツに関する報道や、人々の価値観に影響を及ぼす業務、事件の実況中継に携わってはならないと規定する案を公表。海外メディアが発信したニュースを伝えることや、報道に関するフォーラムや表彰イベントの開催も禁止する内容となっている。

 胡錦濤前国家主席時代の2010年には、新聞や出版業界の発展を目的に、報道事業への民間企業の参入を促す通知を出しており、中国には中国共産党や政府と距離を置く独立系メディアが存在するほか、SNS上で独自の調査報道を発信するメディアもある。

 ネットが普及した中国では、各種メディアの報道がSNSで転載され、社会に拡散するのが一般的。しかし、国家インターネット情報弁公室は今月20日、ネットサービス業者が転載可能なニュースの発信元リストを更新。当局が認める発信元の数は1358で前回(16年)の約4倍に増えた一方、経済・社会問題の独自報道で知られ、新型コロナウイルス発生当初も官製メディアが報じない現地情報を伝えて人気を集めた「財新ネット」は外された。

 リストにない発信元のニュースを転載すると「法規によって罰する」としている。当局系メディアをネット上の主要な情報源とすることで、当局に不都合な報道がネット上に拡散することを防ぎ、世論を誘導する狙いがあるとみられる。

 中国では異例となる習近平国家主席の3期目続投が確実視される中国共産党大会を来秋に控え、言論統制が進むのは必至だ。中国のメディア関係者は「ネット上で大きな影響力を持つワンホン(インフルエンサー)たちへの規制も強まるのではないか」と話した。

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