エネルギー政策 原発の将来像、明確に示せ

 原油高騰でガソリン価格が上昇し、冬場の電力安定供給に向けて液化天然ガス(LNG)の確保が懸念される。暮らしや経済の基盤となるエネルギーの問題は、今回の衆院選で大いに論じてほしいテーマの一つだ。

 豪雨災害の多発などで有権者の多くが気候危機を実感しているはずだ。地球環境問題と一体で考えなければならない。

 政府は先週、エネルギー政策の指針となる第6次エネルギー基本計画を閣議決定した。太陽光や風力といった再生可能エネルギーを主力電源と位置付け、最優先、最大限の導入を促すことを明確にした。

 その土台は、菅義偉前首相が昨年宣言した「2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする」目標の達成である。これは国際公約であり、多くの先進国が同じ目標を掲げている。再生エネの導入拡大は世界的な潮流となっており、出遅れた日本は追い付く必要がある。

 衆院選の主な政党の公約を見ると、再生エネを拡大する方向性ではほぼ共通している。異なるのは原発の扱いである。

 10年前に東京電力福島第1原発事故を経験し、国民の多くが脱原発を求める一方、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)を出さない脱炭素電源として原発の活用を訴える声もある。

 重要かつ意見が割れている問題だからこそ、国政選挙で原発の「将来像」を有権者に問う価値がある。原発の再稼働や新増設について、立場を曖昧にしている政党があるのは残念だ。

 立憲民主党など野党4党は「原発のない脱炭素社会を追求」を共通政策に盛り込んだ。時期に違いはあるものの、脱原発というゴールは一致している。

 政府の基本計画で30年度に電源構成の36~38%と定めた再生エネの上積みを掲げる政党もある。具体策を説明すべきだ。

 一方、原発の再稼働を進めてきた自民党は「可能な限り原発依存度を低減」するとしつつ、小型モジュール炉の地下立地などの開発を後押しする、と公約に盛り込んだ。

 岸田文雄首相は「電力の安定供給などを考えると、再生エネの一本足打法では応えられない」と原発を選択肢に据える。原発の新増設や建て替えに前向きな甘利明氏が自民党幹事長に就き、電力業界などでは原発回帰への期待も高まっている。

 ただ全原発が再稼働し、原則40年の運転期間を60年に延長できても40年代以降は廃炉が相次ぎ、原発全体の発電能力は急速に落ちる。この穴を原発新増設で埋めるのが現実的かどうか、冷静に考える必要がある。

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