「女性が輝く社会」って? 雇用は増えても半数以上が非正規の現実

 長崎県内で展開する四つのホテルの支配人や副支配人は計6人。うち女性が3人で2人は子育て中。長崎県大村市に本社を置く「九州教具」グループのホテル事業部門は、女性を管理職として積極的に登用している。

 トラブルがあれば昼夜を問わず電話がかかり、ホテルへ駆けつける。3年前、そんな支配人の仕事を見直した。夜間は他の従業員が代わりを務める「ナイトマネジャー」を導入。子育てと仕事の両立に悩む女性管理職の負担軽減にもつながっているという。

 「男性も女性も挑戦しやすい環境をつくる。何もしなければ、女性はライフステージを経る中で不利なことも多い」と船橋佐知子副社長。結婚や子育てなどを理由に働き方を変えざるを得ない女性は少なくない。

 「熱が下がりません。迎えに来てください」。9月下旬、北九州市の女性(24)は、1歳の娘と3歳の息子を預ける保育園に向かった。

 小学校の給食を調理する会社で、パートとして働いて約2カ月。時給870円。その前は正社員として別の会社で4年ほど働いたが、子どもの熱発で休んだり、急なお迎えで早退したりすることも少なくなく、8月末に退職した。精神的には楽になったが、給料は半分の8万円になった。

 2014年、安倍政権は「すべての女性が輝く社会」を政策目標に掲げた。女性の採用や昇進機会拡大を図る女性活躍推進法が成立した15年と19年の比較で、女性の就業者数は約233万人増えた。一方、働く女性の半数以上は非正規雇用だ。

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 厚生労働省の調査によると、養育費を受けたことがない母子世帯の母親は約56%。離婚や死別などでひとり親となった女性の約46%は転職する。理由は「収入がよくないから」が最多-。

 福岡県内の女性(45)は14年前、ギャンブル依存で借金を繰り返す公務員の夫と離婚した。以来、養育費の支払いはない。アルバイトの長男(20)、高校生の次男(17)、三男(16)と4人で暮らす。

 医療事務の仕事をしていた頃、ハローワークのホームページで看護学校などの費用の一部を国が支給する制度があることを知った。「手に職を付けて、長く働きたい」。19年春、奨学金も申請し、看護学校に入学した。児童扶養手当や国の教育訓練のための支援金などで何とか生活が成り立つ。

 来春、看護師として再び社会に出る。同時に奨学金の返済も始まる。総額440万円。貯金はない。「父親と母親の両方をこなさないといけなかった。とにかく働いて稼ぐだけ」。女性が輝く社会がどんなものなのか、考える余裕はない。 (平山成美)

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