寝たきりでも郵便投票ダメ? コロナ患者対象の特例法、格差置き去り

 31日投開票の衆院選で、入院や高齢などのために投票したくてもできない人たちがいる。小規模な医療機関に入院する新型コロナウイルス感染症以外の患者や、要介護度4以下の主に在宅の高齢者だ。こうした有権者は、新型コロナに感染して自宅などで療養する有権者の郵便投票を認めた特例法(6月施行)でも、対象に含まれなかった。専門家は「投票格差が生じており、今後是正されるべきだ」と指摘する。

 衆院選の公示後、西日本新聞「あなたの特命取材班」に、福岡県内の70代男性から投稿が寄せられた。「今回の選挙から孫2人が選挙権を得たので、範を示したいのだが…」

 男性は現在、けがで入院中。50床以上の病院や定員50人以上の老人ホームなどだと、都道府県選挙管理委員会から「不在者投票指定施設」に指定され、施設内での投票が可能となる。ただし、必要なスタッフを確保できる施設に限られており、男性が入院中の病院は対象外だ。

 また、郵便投票は身体障害者や要介護度が最も重い「要介護度5」であることなどが要件。新型コロナの感染拡大を受け6月15日に成立、同23日に施行された特例法で、自宅や宿泊施設で療養する感染者のほか、ホテルで待機する海外からの帰国者も対象となったが、男性はいずれにも当てはまらない。「コロナ禍で、入院中の一時外出は事実上難しい。特例法はそれを想定していない」と憤る。

 福岡県内の別の男性からも、投稿があった。訪問リハビリを仕事とするこの男性は「要介護度5の高齢者はほぼ施設に入居しており、施設で投票できている人が多い。だが、4以下でも在宅の場合、投票所に行くことができない有権者はかなりいるはず」と訴える。

 総務省の有識者による研究会は2017年、「要介護度3は、寝たきりが約5割、それに近い人を含めると約8割」に上るとして、要介護度3までを郵便投票の対象とするのが適当との報告書をまとめたが、実現はしていない。

 同研究会のメンバーだった淑徳大の結城康博教授(社会保障論)は「より多くの人の投票権行使を保障するため、小規模な医療機関に入院する有権者などを対象に、バスなどで巡回する移動投票所の活用を進めるべきだ。要介護者に対する郵便投票の拡充を含め、国会での議論が急がれる」と話す。

 (水山真人)

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