31日投開票 1票の重みが増している

 衆院選の投開票日まで残すところ1日となった。期日前投票は前回を上回るペースとなっている。一方で、なお熟考中という人も少なくなかろう。せっかくの1票を無にはせず、ぜひ投票所に足を運んでほしい。

 各種の情勢調査によれば、小選挙区は近年になく接戦区が多い。九州も同様の傾向だ。

 当選者は1人だけ、たとえ1票差でも当落が分かれる制度である。わずかな投票行動の変化が大勢を左右することは十分にあり得る。とりわけ接戦区では1票の重みがより増している。無関心ではいられない。

 解散から投票まで戦後最短の17日間という異例の慌ただしさで、選挙戦は展開されてきた。

 信任を求めた岸田文雄首相だが、政権は発足したばかりで判断材料は限られている。

 野党共闘が進んだ結果、投票したい党の候補者が選挙区にいない状況も生じていよう。

 だからといって投票しなければ、最長4年間の白紙委任となる。これまでも社説で訴えてきたように、公約に100パーセント賛同できる政党や候補者がない場合は「よりまし」な選択でもいい。消去法となろうともしっかり意思表示すべきだ。

 主な争点となった新型コロナ禍対策や経済政策は、大枠で各党の違いがそれほどない。現金給付などの財源論が具体性を欠くのも、残念ながら共通だ。

 それでも、格差是正に向け成長優先か分配優先かという各党の道筋の違いは、論戦でそれなりに浮かんできた。消費税減税や大企業、富裕層への課税強化については、与野党でくっきりと考え方が分かれている。

 安全保障や原発政策、選択的夫婦別姓の導入も、党により違いが大きい。「誰がなっても同じ」ではなく、投票次第で国の針路も私たちの生活も変わることを忘れずにいたい。公約が絵に描いた餅でなく実現可能なのかを見極める視点も大切だ。

 新型コロナの新規感染者数が落ち着いてきたこともあり、選挙終盤の街頭演説の風景はコロナ前と変わらない。違うのは候補者が握手を控えている点くらいだ。逆に言えば、政策より握手の数が大切だとも言われてきた「お願い」頼みの選挙運動を見直す、よい機会でもある。

 私たちはコロナ禍で政治と生活が直結していることを実感した。そうした意味でも1票の重みが増した今だからこそ、政策本位で候補者を吟味したい。

 投票で終わりではない。選挙後の党や政治家の動向を見届けるのも有権者の役割だ。投票前にじっくり考え、悩むことが、後でもきっと役立つだろう。

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