【激戦区ルポ・福岡2区】閣僚級来援の「空中戦」vsどぶ板の「1棟つぶし」

 衆院選は最終盤を迎えた。九州一の都市型選挙区ともいわれる福岡2区で、4度目の対決となる与野党前職が対照的な戦い方を展開している。自民党の鬼木誠氏は党の閣僚経験者らの相次ぐ来援を受け、街頭演説など「空中戦」で攻勢をかける。対する立憲民主党の稲富修二氏は、マンションごとにマイクを向けて訴える「1棟つぶし」作戦を決行。31日の投開票へデッドヒートが続く。

 「自転車で営業していた人こそ国会議員に」

 27日、福岡市・天神。自民の片山さつき総務会長代理は集会で、元銀行員の鬼木氏をこう持ち上げた。壇上には、鬼木氏の当選同期で岸田文雄首相に抜てきされた小林鷹之経済安全保障担当相の姿も。600人の支持者は、2人の軽妙な語り口に何度も沸いた。

 19日の公示後、この日までに来援した党所属の閣僚・閣僚経験者は6人。1日半に1人のペースだ。20日は、小渕優子組織運動本部長が商店街で街宣。25日の総決起集会では、中谷元・元防衛相が約千人を前に「彼の先祖は対馬で外敵から日本を守っていた。(鬼木氏は)防衛副大臣に適任だ」と熱弁を振るった。

 鬼木氏は22、23日、防衛副大臣の在京当番のため、政治家人生で初めて選挙期間中に選挙区を空けた。だが23日には、首相自らが候補者本人不在の天神で演説。山際大志郎経済再生担当相も、博多湾の潮風漂う漁協前で支持を呼び掛けた。

 「これでご飯が進むよ。頑張ってね」。22日、防衛大臣室。福岡名物の辛子めんたいこを持参した鬼木氏は岸信夫防衛相から激励を受けた。「そうそうたる方々の応援をもらっている。絶対に負けられない」と鬼木氏。選挙戦最終日の30日は、高市早苗政調会長が駆け付ける。

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 「1票で結果が大きく変わる。どうか政治を変える力を私にください」

 日が落ち、肌寒くなった21日午後7時半、福岡市中央区小笹の住宅街。マイクを手に訴える稲富氏の視線の先には、高層マンションがそびえる。「頑張れよ」。ベランダから顔を出した男性が声を掛けた。別の部屋からは若い女性が笑顔で手を振っていた。

 市街地に集合住宅がひしめき合う2区。有権者へのアプローチが難しい状況で陣営がひねり出したのが、マンションの「1棟つぶし」作戦だ。

 稲富氏は、特に集合住宅が多い中央区を中心に、マイクと拡声器を持って一棟一棟の前に立つ。公示前の16日から始めた。当初、反応はまばらだったが、「次第に良くなってきた」。

 小選挙区で3連敗を喫している鬼木氏の組織力に対抗するため、「どぶ板」選挙よりもさらに泥くさく地道な「超どぶ板」(陣営幹部)に徹してきた。

 PTAやトイレ掃除ボランティアなど草の根活動で「稲富党」を開拓。朝のつじ立ちは、2区を選挙区にして以降14年間欠かさず、選挙期間以外も交差点に立ち続けてきた。「立民支持じゃないけど、稲富さんは好き」「ずっと自民支持だが今回は稲富さんに入れる」という有権者の声も届くようになった。

 公示後、以前から自民支持という福岡市の男性社長が稲富氏の熱意にほだされ「1棟つぶし」に同行した。稲富氏は「相手には相手のやり方がある。私は私のやり方で支援を増やしていく」と闘志をたぎらせた。

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 福岡2区には日本維新の会新人の新開崇司氏も立候補。街頭演説などで、全国民に一定額を給付する「ベーシックインカム」導入の必要性などを訴えている。

 (小川俊一、野間あり葉)

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