「じゃない方」の政党、グータッチの感触…わたしの1票の行方

 九州最大の繁華街、福岡市・天神。福岡県の劇団員のマサ(25)は10月30日、衆院選の候補者の「最後のお願い」を横目に、期日前投票所に向かった。コロナ禍で政治を「自分ごと」と感じ、「推し」の投票先を選びたいと臨んだが、見つからなかった。

 さまざまな質問に答え、自分の考え方と近い政党を探すマッチングサイトなどを参考にしたが、結局、入れたくない政党〝じゃない方〟を選んだ。同日朝、福岡市の看護師、ヨシコ(29)はコロナ対策を判断基準に期日前投票を済ませた。

 いよいよ迎えた投開票の31日。大分県でハウス農家を営むヒカル(22)は昼前に投票所に着くと、初めて投票した4年前ほど緊張しない自分に驚いた。街頭で演説を聞いた候補者は想像以上に気さくなおじさんだった。グータッチの感触を思い出し、その人の名を書いた。佐賀県の畜産会社で役員を務めるスグル(24)は農業政策で選び、福岡市のホテルマン、コウタ(29)は「現状打破」の願いを込めた。

 「行けないな…」。佐賀市の結婚式場に勤めるユキ(25)は昼すぎ、職場でため息をついた。仕事に追われ、バッグに入れた投票所入場券を使うことはなかった。

 午後8時。熊本市の保育士スズ(25)は、テレビの開票速報を見つめた。

 投票所は初めて投票する19歳の弟と一緒に行った。どこに投票するのが「正解」か分からず引け目を感じる弟を見て「自分もそうだったな」。選んだ候補者や政党が百点満点とは思わない。しかし票を投じた時、初めて「入れたな」と思えた。

 「考えて選んだ分、今までみたいに自分と関係ないものじゃなくなった感じがする」

 衆院選は終わったが、若者7人の「政治」は始まったばかりだ。

 =文中と表、仮名

(川口安子、平山成美、豊福幸子)

 =おわり

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