カレンダー「評判良好」、調達費「会社と交渉」 郵便局長会内部資料

 約1万9千人の郵便局長でつくる任意団体「全国郵便局長会」(全特)が、日本郵便の経費で購入されたカレンダーを参院選の組織内候補の後援会活動に利用していた問題は、西日本新聞が入手した内部資料によって全特幹部が主導していた疑いが強まった。全特は郵政民営化後、日本郵政グループに課されるさまざまな法規制を撤廃するよう政治に強く働き掛けてきた。集票力を見せつけ、要望を実現するためのなりふり構わぬ活動の一端があらわになった形だ。

 「カレンダーについては、後援者等からの評判がすこぶる良好で、今年末もぜひ、継続したいとの要望が強かった。⇒会社と継続交渉することとした」

 昨年2月の会議の議事概要には、全特が会社にカレンダーの費用負担を要求したり、後援会活動に流用したりする意思決定の過程が詳細に記されていた。

 会議冒頭であいさつしたのは、当時全特副会長だった長谷川英晴氏。「しっかりと準備しておけば、次回の(参院選の)戦いでは前回以上の結果を出すことは可能だ」などと語ったとされる。

 長谷川氏は千葉県の郵便局長出身。全特は今年5月、選挙活動での実績などを評価して来夏の参院選の組織内候補に決定、自民党は7月に公認を発表した。

 西日本新聞は10月下旬、東京都内で長谷川氏に直接、カレンダー配布問題への関与について質問した。長谷川氏は「ここでは答えられない」と述べるにとどめた。全特が「一括回答」とした2日の回答でも、明確な答えは得られなかった。

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 郵政グループは2007年の郵政民営化後、民間企業としての経営を求められると同時に、過疎地も含め全国で郵便、保険、貯金の事業を提供する「ユニバーサルサービス」を義務付けられるなど難しいかじ取りを迫られるようになった。

 19年の参院選を前に内部向けに出された全特会長のメッセージでは「郵政関係の政治課題の解決を図るためには、郵政グループとして政治への大きな影響力を保持し、働き掛けていかなければならない」と強調している。

 過去3度の参院選比例代表に擁立した候補は、いずれも自民党内トップで当選した。全特はその政治力を背景に、表立って政治活動ができない郵政グループを代弁。ゆうちょ銀行の預入限度額の引き上げや、グループ内の取引で発生する数百億円規模の消費税を事実上、免除する仕組みの導入などを実現させた。

 社内では集票力を保つため、さまざまな「既得権益」を維持してきた。

 小規模局の局長の採用は一般の局員とは別枠の公募で実施され、地区役員の局長らが試験前に研修会を開いて夫婦で選挙活動ができるかなどを確認している。採用後は半強制的に全特に加入させ、自民党員にもなる。局長には原則として転勤がない。

 こうした仕組みは、パワハラや長期間に及ぶ顧客からの詐取など、相次ぐ局長の不祥事の温床になっているとも指摘されてきた。

 九州のある局長は言う。「局長会では非常識がまかり通り、会社も黙認してきた。一度立ち止まって組織のあり方を見直すべきだ」

 (宮崎拓朗、長田健吾)

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