議員が圧力?福岡県が敷地整備 災害復旧工事、要請何度も 

 「災害復旧工事に絡み、地元議員が圧力をかけ、自分の敷地まで一緒に整備してもらったようだ」。数年前の豪雨で被災した福岡県内の自治体の住民から、西日本新聞「あなたの特命取材班」に投稿が寄せられた。調べを進めると、護岸工事に合わせ、隣接する議員の土地の斜面地(のり面)も整備するよう県や被災自治体に要請があり、実際に県費や業者の負担で芝が張られていた。議員は「正当な工事だ」と主張するが、地元からは疑問の声が出ている。経緯を検証した。

 福岡県によると、河川の護岸工事は、豪雨で大きくえぐられた岸にコンクリート壁を設ける県の事業。今年7月に完成した。えぐられた箇所は元々、民有地だったが、護岸工事に伴い、河川背後地を管理用道路の用地にするため県が取得。一方で、道路と隣接するのり面部分は議員の敷地のままだった。

 本紙が県に行った情報公開請求で、議員と県が昨年3月に行った用地交渉を巡る協議内容の資料が開示された。それによると、議員は「のり面処理(整地)を行わないか」と打診し、県は「民地は扱わない」としながらも「残土処理で多少盛る程度は可能かもしれない」と説明していた。

 県などは結局、のり面処理(長さ約40メートル、高さ約4メートル)を今年6月までに実施。管理用道路側の下段の造成と芝張りの費用は約13万円だった。

 私有地の整備を行った理由について、県は取材に対し「のり面から管理用道路に土砂が流出していたため、対策が必要だと判断した」と回答。「残土を外部に搬出するより、のり面処理として土砂を使う方が安価で合理的だった」とした。

 地元の工事業者は「資材置き場のために土地を貸した場合など、公共工事に不可欠な案件しか許可されないのが一般的だ」と指摘。「整備の規模も大きく、議員の力が働いたのではないか」と話す。また、のり面の上段部分の整地は、議員の要求で業者が負担して行われた。総費用は数十万円に上るとみられる。

 議員が4~5月、被災自治体の担当者に連絡し、県にのり面処理を行うよう働き掛けてもらっていたことも判明。自治体の担当部長によると、災害に遭った住宅地の復旧について行政の補助制度はないが、「復興工事と関係があり、県に取り次いだ」と明かした。

 議員は取材に「肩書で圧力をかけたつもりはない。管理道路の保全のために最低限度の工事をしてもらった」と主張。近隣の同じような土地所有者の要望も県に伝えたと強調し「地元議員として当然のことだ」と述べた。一方で、住民の一人は「多くの住民が身銭を切って自宅の修理をする中、議員の力を使ってやり過ぎではないか」と批判した。

 (水山真人)

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納得できる説明を

 熊本高専の遠山隆淑(たかよし)准教授(政治学)の話 被災者として同情する面もあるが、一般的にはあり得ないほど議員を利する結果となっている。住民が納得できる説明が不可欠だ。行政が政治家からの圧力を「忖度(そんたく)」することが問題視されてきた。議員は「肩書での圧力」を否定するものの、公職者の言動が行政側にどのような影響をもたらすのか熟慮が必要だろう。

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