北京五輪控え「ゼロコロナ」中国当局の締め付けに募る不満

 【北京・坂本信博】私権も制限する徹底的な防疫対策で新型コロナウイルスを封じ込めてきた中国で、わずかな感染拡大も許さない「ゼロコロナ」政策に不満を訴える声が出ている。10月中旬から市中感染が再び増えており、厳格な規制が暮らしや地域経済に悪影響を及ぼしているためだ。ただ、中国政府は従来の対策に自信を深めている。習近平指導部が威信を懸ける北京冬季五輪も来年2月に控え、コロナとの共存を目指す「ウィズコロナ」への転換には否定的だ。

結婚披露宴を禁止、旅行中止して帰途に

 2日未明、北京市内のある団地が突然封鎖された。地域外の人が団地内の医療機関でPCR検査を受け、感染が判明したためだった。約4千人の全住民にPCR検査が実施され、陰性と確認されるまで団地から出ることを禁じられた。

 10月下旬には、北京の老舗ホテルなどで結婚披露宴の撮影をしていたカメラマンの感染が分かり、当局が市中心部のホテルでの結婚披露宴を禁止。市外からの団体観光客にも、旅行を中止してPCR検査を受け、帰途に就くよう求めた。

 上海ディズニーランドでは、1人の感染者が同園を訪れていたことが判明し、今月1日から2日間、臨時休園。新たな感染者が出た内モンゴル自治区では、9千人以上の観光客が隔離施設に移送された。

 「厳し過ぎて生活や仕事に支障を来している。いつまでゼロコロナを続けるのか」。北京で働く女性(32)は不満を隠さない。北京の男性会社員(27)は「周囲ではゼロコロナ政策への支持と不支持が半々」と語る。中国の会員制交流サイト(SNS)では、厳しい防疫対策への不満を込めて警察官をからかう投稿をした男性が当局に拘束される事態も起きている。

「致死率約2%は高すぎる」相次ぎ発信

 中国はこれまで、(1)感染者が発生した地域の封鎖(2)大規模なPCR検査(3)濃厚接触者らの隔離―の徹底で流行を抑え込んできた。中国本土のワクチン接種回数は延べ22億8595万回に達し、接種済みの人は全人口の7割を超えた。ワクチンの効力を持続させるための追加接種も進む。

 一方、欧米やアジア各国はワクチン接種の普及に伴い、ウィズコロナ政策へ移行しつつある。北京の外交筋は「中国だけがゼロコロナを目指して鎖国的政策を続ければ、必要なコストはますます大きくなる。経済成長の足かせにもなりかねない」と指摘する。

 海外からとみられるデルタ株の感染拡大が中国で相次いだ今夏、著名な感染症専門家の張文宏氏が国内で「世界はウイルスとの共存を習得するべきだ」と提言。専門家や市民から賛否両論が湧く一方、当局の方針に疑問を呈したと捉えられて猛批判も浴びた。

 「ゼロコロナを目指すのはやむを得ない。コロナの致死率約2%は高すぎる」。議論の再燃をけん制するかのように、中国の官製メディアは今月に入り、新型コロナ対策を巡る政府の専門家グループのトップを務めてきた鍾南山氏の発言を相次いで発信した。

 鍾氏は「強力な防疫対策で再流行は1カ月以内に封じ込められる。ゼロコロナ政策のコストは確かに高いものの、何もせず放っておくコストの方が高い」とした上で「中国は段階的に制限を緩和する方法を講じているが、世界の抑制状況次第だ」と強調している。

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