発祥は福岡、あの点滅信号が消えゆくワケ

 一つのランプが点滅して一時停止などの交通規制を伝える「一灯点滅式信号機」が姿を消し始めている。道路幅が狭い交差点に設置できるのが利点で、「発祥の地」とされる福岡県から全国に広がった。ただ交通事故の抑止効果が高く、維持管理費も安い最新式の道路標識が開発され、全国の警察が置き換えを進めている。設置数が全国で突出して多い福岡県では「信号機があるから安心して通行できた」と、撤去を残念がる住民もいる。

新たな道路標識の開発

 一灯点滅式信号機は交差点の中心部に設置され、通行が優先される主道路側が「注意して進め」を意味する黄色点滅、もう一方の道路が「一時停止」を示す赤色点滅となる。

 福岡県警によると、県警と協力するメーカーが開発し、1984年、福岡市南区の交差点に全国で初めて導入された。一般的な三灯式信号機を取り付けるスペースがない住宅地などの交差点での活用が狙いで、要望を受けて積極的に設置を進めたという。

 一灯点滅式は全国に広まったが、地域で普及の差は大きい。2016年3月末時点で、全国最多の福岡県に1608基、宮崎県には295基あり、いずれも信号機全体の1割以上を占めたが、全国平均では3%程度。千葉県はゼロで、東京など10都県で1桁。設置が少ない地域では一灯式信号の意味が分からない人もいるという。

 太陽光で蓄電して発光したり、車のヘッドライトに反射して明るく見えたりする道路標識が開発されたことなどから、警察庁は15年12月、一時停止標識で代替可能な場合、一灯点滅式の撤去を検討するよう通知。標識は災害時の停電に影響を受けないメリットもあり、全国の設置数は16年3月末の5904基から、昨年3月末には4653基に減った。

撤去後に人身事故減少

 福岡県警は今年3月までの5年間で約300基を撤去し、標識に置き換えた。撤去後には人身事故が減少したというデータも得られたという。

 ただ、撤去の計画が持ち上がった地元住民からは心配する声も出ている。福岡市城南区茶山の住宅街にある交差点には、一灯点滅式が数年前に設置されたばかり。児童の見守り活動をしている菅正勝さん(77)は「ここは幹線道路の抜け道で、要望活動をして付けてもらった。信号があるから車は用心して通っている」と存続を求めている。

 福岡県警は住民の了解を得た上で撤去を進めており、当面存続する所もある。撤去時には標識の設置に加え、自治体などの道路管理者に「止まれ」の路面表示やカラー舗装を施すよう協力を求めている。県警交通規制課は「標識でも安全が担保できることを丁寧に説明し、理解を求めたい」としている。

 (山口新太郎、塩入雄一郎)

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