10月の阿蘇山は「水蒸気」か 噴火の3形態、正しく知って警戒を

 10月の熊本県の阿蘇山・中岳(1506メートル)の噴火は、地下水が地底のマグマに温められて沸騰、爆発し、火山灰などを噴出させる「水蒸気噴火」だったと福岡管区気象台はみる。中岳では過去にも頻繁に観測された形態で、同規模の活動は今後も起こり得る、と気象台が考える根拠になっている。火山がひしめく日本列島、九州に暮らす上で覚えておきたい言葉だ。

 火山活動はこうした水蒸気噴火に始まり、上昇したマグマが地下水と接触して激しく反応、マグマ質も噴出する「マグマ水蒸気噴火」、地表に現れたマグマ自体が噴き出す「マグマ噴火」、というプロセスをたどることが多い。マグマの上昇は活動の活発化を意味する。

 気象台は日頃から衛星利用測位システム(GPS)などを使って山体の動向を観測している。マグマが供給されれば膨らむ火山の特性と照らし合わせ、今回はマグマが供給されていないと判断、第1段階の水蒸気噴火とみている。

 国立研究開発法人の産業技術総合研究所(茨城県つくば市)による火山灰の調査でも、高温のマグマが急激に冷やされる際にできる火山ガラスのような粒子は確認されていない。マグマの供給はない、との気象台の見解を裏付ける内容だ。

 注意したいのは、水蒸気噴火でも状況によっては大きな被害が出ること。2014年9月の御嶽山(長野、岐阜両県)の噴火はこれに分類されるが、噴火警戒レベルが低かったため、山頂付近の登山者が巻き込まれ、死者・行方不明者63人という甚大な被害となった。

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 では、第2、3段階はどのような状況なのか。長崎県の雲仙・普賢岳を引き合いに考えたい。

 1990年11月、198年ぶりに目覚めた普賢岳はまず、水蒸気噴火を起こした。91年3月下旬からはマグマ水蒸気噴火の様相を呈し、5月にはマグマが地表に現れて溶岩ドームを形成、マグマ噴火に至った。6月3日の死者・行方不明者43人を出す大火砕流につながった。火砕流の発生は計9432回、最長到達は山頂から5・6キロに及ぶ。

 火山の規模やメカニズムが異なるため単純比較はできないが、今回の阿蘇でも火口から1・6キロまで火砕流の到達を確認している。

 阿蘇、雲仙、桜島…。火山がもたらす文化や産物に感謝しつつ、自然災害への警戒を怠らぬよう努めたい。

 (梅沢平、重川英介)

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