リアルに学んだ衆院選、中3が考え投じた「1票」 ネットで候補者吟味

 10月31日投開票の衆院選に合わせ、福岡1区に位置する福岡市博多区の東光中の3年生2クラス(約60人)が社会の授業で「1票」を投じた。生徒はパソコンなどで候補者と政党の公約や訴えを主体的に学び、考え、投票先を選択した。政治的中立性を意識するあまり、選挙に距離を置きがちとされる現代の教育現場からの“挑戦”。研究者は「リアルに自分の事として捉えられる効果がある」と評価する。 (四宮淳平)

目指したのは「中立性」との両立

 選挙や国会に提出された法案を授業で取り上げると、具体的な議論ができ、政治への関心を高める効果があるという。だが常に、教育基本法が定める中立性の確保が課題になる。すべての政党の考えを網羅する資料の準備は容易ではないためだ。次善の策として模擬選挙などの取り組みもあるが、それでは真実味に欠ける、とも指摘される。

 インターネットなどで生徒自身が主体的に学習素材を取りに行くことで「リアル」と「中立性」の両方を満たせると、東光中の担当教員は考えた。

 生徒は教室内で自由に意見を交わした。ある生徒は、候補者の一人が雨にぬれながら演説する場面に出くわしたことに触れ「感動した」と力説。動画サイトで候補者のチャンネル登録をチェックした生徒は「めっちゃ多い」。

 安倍政権時代の森友・加計(かけ)学園、桜を見る会など政治とカネに関するやりとりも話題になった。「(政治家を)信用できん」「自分らの生活には関係ない」「いや、税金を使うから関係ある」…。生徒の一人、小嶋健心さん(15)は「自分たちで調べると、知りたいことが細かく分かる。学習の充実につながっている」と受け止めた。

異なった結果…悔しがった生徒たち

 福岡1区には自民、立憲民主、日本維新の会、共産の各党から4人が出馬。授業のたびに生徒にアンケートを行い、各候補や比例代表での政党の支持率を公表した。その結果についても生徒たちは意見を交わした。

 投票は10月下旬。あるクラスは小選挙区、比例代表ともに「自民」が最も多く、別のクラスはいずれも「立民」。大人たちが投じた本当の選挙では、自民候補が当選し、維新候補が比例復活を果たした。

 授業はここで終わらない。投開票後の今月2、4日、実際の結果とこれまでの授業の結果を比較した。立民を選んだクラスの生徒たちは、投票結果が異なったことを悔しがった。担当教員の本村悠貴さん(26)は「一生懸命に選んでいた。これで興味を持ってくれればいい」と実感する。

 授業を通じて学んでほしい重要なテーマの一つに、低調な投票率がある。生徒たちは各年代の投票率の推移や投票しない理由を調べた上で、ネット投票や投票者に割引券が当たる仕組みの導入、会員制交流サイト(SNS)の活用などの案を出し合った。投票率が高いスウェーデンの中学でも東光中と似た取り組みがあることを授業で紹介した堀部心遙(こはる)さん(14)は「選挙権を得たら、投票していない人も誘って一緒に選挙に行きたい」。

 九州大の蓮見二郎教授(政治学)は実際の選挙と連動した授業は緊張感があると評価した上で「玉石混交のネット情報を取捨選択する力が求められる」と今後の課題を挙げた。

 3年後、生徒たちは投票権を持つ。 

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