コロナ会計検査 ずさんさ改め質を高めよ

 「未知のウイルス」が相手であり、試行錯誤はやむを得なかったとしても、あまりに無駄な支出が多過ぎる。同じ過ちをけっして繰り返してはならない。

 政府の新型コロナウイルス対策のずさんさを浮き彫りにしたのが、官庁などに対する会計検査院の2020年度決算検査報告である。

 全世帯に向けたいわゆる「アベノマスク」など厚生労働省が約2億9千万枚調達した布マスクは、今年3月時点で約115億円相当の約8300万枚が配られぬまま倉庫に眠っていたという。保管費は昨年度だけで約6億円に上る。不良品の検品などにも約21億円を要した。

 検査院は死蔵されているマスクの有効活用を求めた。不織布マスクと比べ感染予防効果が劣ることが定説となっただけに、活用策を見いだすのは容易でなかろう。それでも保管にはなお年間億円単位が必要という。

 中小企業向けの持続化給付金事業は民間への再委託が繰り返され、最大で9次下請けにまで及んだ。同給付金で約5億9千万円、雇用調整助成金では約3億円の不正受給もあった。

 観光支援事業「Go To トラベル」は、事業停止でキャンセルを受けた旅行会社などに1157億円を補償した。観光庁は食材納入や清掃といった関連の業者に公平に分配されたかどうか把握していなかった。

 この検査院報告を見る限り、本当に必要な人に必要な支援が届いたのか、疑問を抱かざるを得ない。各事業の効果が実際にどの程度あったのかについて、徹底的な検証が必要だ。

 多額の使い残しも出ている。総額65兆円余りのコロナ対策予算のうち、約3分の1の23兆円近くが使われず、21年度に繰り越されるなどしていた。

 検査院は接触確認アプリ「COCOA(ココア)」の不具合に対する厚労省対応の不備についてのみ、法に基づく改善要求を出した。その他のコロナ対策については緊急性や政策判断の難しさを考慮して無駄遣いとの指摘は見送った。釈然としない国民もいるのではないか。

 感染状況が落ち着いてきた現在、緊急性などは口実にできない。政府、与党は教訓を読み取り、来週にもまとめる経済対策や来年度予算は規模ありきでなく、質を重視しなければならない。あらゆる政策メニューから優先順位を厳正に考慮してメリハリを付けるべきだ。

 布マスク配布や定額給付金を巡っては、膨大な事務作業が生じ省庁や自治体の本来業務を圧迫したことも指摘されている。今回の検査院報告の対象ではない、政策決定の経緯や妥当性にも踏み込んだ総括を求めたい。

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