ワクチン、自治体職員は打って当然? 接種歴を職場で“公開”聞き取り

 新型コロナウイルスのワクチン接種が進む中、職場で接種に関する調査を受けた北九州市職員から「目的を知らされず、接種したかどうか周囲に分かる聞き方だった」との情報が、西日本新聞「あなたの特命取材班」に寄せられた。投稿者はアレルギー体質で副反応を心配して接種していないというが、市民に接種を呼び掛けていることもあり、市役所内には「接種して当然」という風潮があるという。専門家は「自治体職員であっても、接種を望まない個人の権利は守られるべきだ」と指摘する。

 「ワクチン接種していますか」

 8月、投稿者の部署で庶務担当の職員が、一人一人の席に近寄り、聞いて回った。投稿者は「未回答」と答えた。ただ周囲には同僚がいて「未接種だと受け止められた。誰が打って誰が打っていないか、丸分かりだった」と振り返る。

 調査は市人事課が区役所を含む全職員(約7200人)を対象に実施し、2回接種済み▽1回接種済み▽未接種▽未回答-の選択肢で回答を求めた。

 市は6月末から集団接種会場で予約の空きが出た場合、市職員に優先接種してきた。10月には「世界体操・新体操選手権北九州大会」が控えていた。

 市人事課は「職員がどの程度接種したか、客観的に把握したかった。調査は接種を促すものではない。接種しないという判断も尊重している」と強調。その一方、「市民の接種を推進する立場なので『職員の接種率を知らない』では無責任だ」と、理解を求める。

 投稿者は上司などから調査を実施する理由に関して明確な説明を受けたことはないと証言する。しかし市人事課は調査の趣旨は「説明しているはずだ」とした上で、周囲に聞こえるような形で調査したことについては「嫌な思いをした職員に申し訳ない」と不備があった可能性を認めている。

 投稿者は「調査後から接種していない職員を陰で非難する『ワクチンハラスメント』が横行している。接種したかどうかで業務の範囲が制限され、市民と接する機会がある今の職場で働き続けられるか不安だ」と胸の内を明かす。 同市では9月にも今回とは別に、世界体操などを管轄する市民文化スポーツ局が調査を実施。2回接種を終えた職員を優先的に現地スタッフとして配置するためだったという。

事前説明が不十分では

 日弁連人権擁護委員会委員長の川上詩朗弁護士の話 ワクチン接種という個人の健康に関する情報収集を不適切に行うと、プライバシー権の侵害に当たる恐れがある。情報提供を求める際は目的を明らかにし、目的外利用もあってはならない。今回のケースは事前説明が不十分で、担当者の情報収集の方法も問題があった可能性がある。住民に接種を推奨する自治体であっても、業務と職員個人の自己決定権の尊重は明確に区別し、配慮する必要がある。

 (竹中謙輔)

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