ごみ収集員、毎晩何キロ移動? 深夜作業の福岡市 マスク散乱も…

 「深夜にごみ回収に当たる福岡市の作業員は毎晩、何キロぐらい移動しているのでしょうか」。西日本新聞「あなたの特命取材班」にこんな疑問が寄せられた。住宅街を縫うように移動する収集車の傍らで、作業員が動きっぱなしだという。さて、その答えは-。

 深夜の回収のおかげで「昼間にごみを目にすることも少ない」と感謝する依頼者。移動距離を知ることで作業員の苦労が分かり、感謝の気持ちも深まるのではないかという気持ちから、投稿してくれたという。

 市環境局によると、福岡市の場合、燃えるごみは「日・水曜日」「月・木曜日」「火・金曜日」の3区分で収集。燃えないごみ、空き瓶・ペットボトルはそれぞれ毎月1回だ。

 家庭ごみの収集車は、最大で192台(燃えるごみ146台、燃えないごみ23台、空き瓶・ペットボトル23台)が出動。収集は17業者に民間委託している。1台当たり乗車は3人で、1人が運転手、2人が回収係の役割分担。収集はおおよそ午前0時に始まり、午前7時までには終わる。

 さて、投稿者の疑問を市の担当者に聞いてみた。

 それによると、1晩当たりの作業員の移動距離は10~15キロという。マンションなどが集中する中央区や博多区は短く、東区や早良区など一戸建て住宅が多い区域は長くなる傾向だ。約15キロは、西鉄福岡(天神)駅と二日市駅の距離に相当。一戸建てでは1軒ずつ、玄関先の路上に出されたごみを集めていく重労働だ。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、思わぬ対応も迫られた。収集時にごみ袋が破け、中から大量のマスクが飛び散ったケースがあるという。感染リスクを意識しながら、朝までに収集作業を終えるために急がなければならない。福岡市は「使用済みのマスクを捨てる際は、別のポリ袋に収容して密封してから、ごみ袋の中に入れてほしい」と呼び掛けている。

   ◆    ◆

 実は夜間にごみ収集を行っているのは全国の政令市で唯一だという。なぜか。

 市によると、明治から昭和の初期にかけ、ごみは農家の肥料や家畜の飼料に利用された。収集作業も農業者や他に職を持つ人が担い、農作業や本職前の早朝にごみを回収していた。これが深夜収集の“前身”とされる。

 本格実施は車社会の幕開けといわれた1957(昭和32)年ごろからで、馬車から三輪車に代わり闇夜でも運搬作業が可能になった。年々深刻化する交通渋滞を避け、交通量の少ない深夜に作業することが収集運搬に効率的であることから、夜間収集体制に移行していったという。

 私たちが生活を営む中で、ごみ収集は欠かせない。ふだん注目を集めるわけではないが、人知れず汗をかいている人たちがいる。

(田代芳樹)

 たしろ・よしき 大分県別府市出身 1984年入社。社会部、長崎総局、スポーツ編集、論説委員などを経て2018年4月からクロスメディア報道部。脳死移植などの医療問題や大学、気候問題を主に取材してきた。週末はジョギングとサイクリングの日課で減量に励む。

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